「日本では雇用者数に占める非正規雇用者数の比率が上昇し3割を大きく越えるようになった」
実際、雇用者に占める非正規比率は、1990年には20%、2013年は36%です。
 
一般に非正規雇用者の方が正規雇用者に比較して給与所得はかなり低いから、「正規雇用者数の減少、非正規の増加は所得格差拡大の要因だな。 日本のミドルクラスの減少が進んでいる」というイメージをこの事実に基づいて抱いている方、多いですよね。
 
ところが今日の日経新聞「経済教室」神林龍准教授(専門、労働経済)の論考を読んで、そのイメージが間違っていることに気がつきました。
日本の正規雇用者数(正規職員・従業員)は数でも比率でも1990年以降安定していて、決して減少していないということです。
 
以下添付図は神林氏のコメントを確認するために厚生労働省データで私が作成したものです(単位:万人)。
全就業者数(含む自営業)に占める正規の比率は、1990年61%、2012年59.3%で安定しています。人数も3000万人台で安定しています。
 
では非正規雇用者増加の源泉は?
非正規の増加と並行して自営業者と家族従業員が減少が顕著です。
代表的な変化で言うと、要するに町の小売店主や家族従業員が減って、コンビニアやスーパーの店長や非正規従業員が増えたと言えばわかり易いでしょう。
 
まあ、町の小売店主や家族従業員とコンビニやスーパーの店長やパートと比べて所得や労働条件でどちらが良いか、という議論もできますが、正規雇用で形成されているサラリーマン形態の日本のミドルクラス層はけっこう安定している・・・・と認識を改めました。
 
ただし年齢層別にみると、正規雇用に就けない、あるいは就かない若者層がじんわり増えているのも事実。それはそれでまた問題ですがね。
 
世間的に流布するイメージに流されない認識って・・・・けっこう難しいものです。
 
追記:(2月7日)雇用者数(就業者数ではない)における年齢階層別の正規・非正規割合が気になったので、以下グラフにしました。データは以下の厚生労働省のデータ(表9)
 
これを見ると、雇用者数における非正規比率の上昇は90年代から2000年代初頭の時期に主に起こっており、2000年代後半からは横ばいになっている。
 
非正規比率の上昇幅では、25歳~34歳の層で非正規比率が90年頃の10%から2000年代の20%台半ばまで上昇しているのが年齢階層別で最も大きい。
 
ただし35歳~44歳も非正規比率は20%から20%後半まで上がっており、現在の水準では上記の若い層とほぼ同じ。45歳~54歳でも同じ傾向がみられる。
 
55歳を超えると非正規比率はぐんと高まる。そりゃそうだ。嘱託契約なんかが増えるからね。
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
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