この記事に描かれている銀行と投資家の事情、90年代の日本の住専問題を想起させるなあ・・・
バブルとその崩壊過程で起こることは、時代と国で形を変えても、本質的にいつも同じなんだよね。
 
「騙される投資家が悪いのか、中国シャドウバンク」姫田小夏、ダイヤモンドオンライン
 
引用:「現地紙の21世紀経済導報によれば、販売当時、中国建設銀行山西省支店長はこう言ったそうだ。  「山西聯盛能源有限公司(山西福裕能源の親会社)はAAA級で優良、償還もまったく問題ない。リスクなしの高利回り商品だ」――。
 
複数の投資家たちの証言をまとめると、次のようなものになる。すなわち、「銀行側がVIPルームに招き積極的に販売した。銀行が審査したので信用できる商品であり、かつ投資リスクはないと紹介された」というものだ。つまり、売り方そのものに問題があったともいえるのである。
 
2013年には、山西聯盛の100億元を超える負債が明るみになった。このとき、さすがに投資家は何度も中国建設銀行に問い質したという。しかし、その返答は「生産も経営も正常、キャッシュフローも正常だから、問題ない」というものだった。だが、事実はそれに反するもので、2013年11月、資産総額600億元を誇った山西聯盛は、負債総額300億元とともに破産申請を行った。
 
今、中国の国民はその成り行きを注視している。問われているのは、「誰が責任を取るのか?」という点だ。しかし、販売代理をした中国工商銀行は「これは中誠信託の責任だ」といい、中誠信託は「我々の責任ではなく、山西振富の責任だ」と逃げ、山西振富は「倒産したから投資家に戻す金はない」と開き直る。そして投資家は、「リスクはないと言ったじゃないか」と激昂する。
 
 「これはもはや“国家ぐるみの詐欺”としか言いようがない。投資家に自己責任を迫り、彼らを追い詰めれば、これから償還を迎える商品の取り付け騒ぎが全国的に広がり、それが高じて暴動にもなりかねない」
 中国信託業協会によれば、2013年末、中国の信託資産は10兆9100億元(約190兆円、1元=約17.4円)に達した。また2011年以降、現在に至るまで信託会社が行った炭鉱など資源エネルギー関連の資金調達は、1000億元にも上ると言う。昨年は420億元が償還期を迎え、また今年は150億元が償還期を迎えると言われている。」
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90年代初頭、大蔵省の不動産関連をターゲットにした総量融資規制で住専に貸せなくなった銀行(住専の母体銀行)が農林系金融機関に住専への融資を斡旋、その際に銀行の支店長や役員方が、「形は融資ですが銀行に預金するのと同じです」と言って融資を薦めた・・・そんなことを想い出した。
 
結局、不動産バブル崩壊で、住専は財務的に破綻、その清算をめぐって農林系と銀行の対立が政治家を巻き込んで紛糾した。
 
銀行(メインバンクであると同時に住専の出資・母体行)は、住専の破綻・清算と、その際の債権者の負担は融資額に応じたプロラタを主張した。
 
一方、農林系は損失は全額母体行が負担すべきだと主張、政治家が絡んでもめにもめた。
結局、農林系の損失負担は軽くする政治的な決着となった。
 
中国の場合はどうなるかな? 中国は国家権力(というか中国共産党の独裁権力)が強大なので、ハードランディング的な展開は抑え込めるという見方があるが、私には権力が強い分だけ矛盾の調整が先送りされ、過ちも巨大なものになる気がする。
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人