世界的に話題となっているピケッティー教授の著作「21世紀の資本主義」は「資産(資本)リターン>一人当たりGDP増加率」であるが故に、持てる者(有資産者)と持たざる者の富の格差は(再配分政策がない限り)不可避的に拡大すると強調した。
 
しかし、所得格差の拡大を起こす要因は他にもある。...
教育投資は(それが有効使用される限り)高いリターンをもたらす故に、所得格差拡大の大きな要因になっている、という研究論文とその紹介記事(WSJ)。
 
quote: Mr. Autor estimates that since the early 1980s, the earnings gap between workers with
a high school degree and those with a college education has become four times greater than the
shift in income during the same period to the very top from the 99%.
 
Between 1979 and 2012, the gap in median annual earnings between households of
high-school educated workers and households with college-educated ones expanded from
$30,298 to $58,249, or by roughly $28,000, Mr. Autor says."
 
"Just because an individual isn’t among the 1% or “hooked into the plutocracy,” Mr. Autor said,
he or she can have improved earnings prospects by securing education and skills. And while tuition
may be a big commitment, the “education premium”—which has plateaued in the past few years
after surging for three decades—remains at a very high level.
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全く正しい指摘だと思う。ただし上記の大卒・高卒の所得格差はあくまでも平均値に過ぎない。
大学卒業生でもそのためにかけたコスト(以下参照)を全く無駄にしているとしか思えない若者(つまり実質的な勉強ができておらず、相応しいスキルも身に着けていない若者)も少なくないからだ(はっきり多いと言った方がいいかな)。
 
大学を卒業するコスト=1200万円~1300万円 = A+B
A= 4年間、あるいは5年間の学費:私大で平均400~500万円ほどか
B= 大学に行かずに働いていれば得られたであろう所得:年間200万円として4年で800万円ほどか。
 
まあ、金融資産への投資でも成功する人と失敗する人がいるように、自分への教育投資についても成功と失敗の違いが生じるのは、自然なことなのかもしれない。
 
追記(6月8日):facebookでいくつもコメントが寄せられ、私も再コメントしたので、私の再コメント部分を以下追記しておきます。
 
「自分の経験に基づいて申しますと、大学生時代に習得できた知識なんてたかが知れています。むしろ「大学時代には主体的な勉強の仕方を学んだ」そして社会に出てから経験知を積みながら勉強を続けた、それが所得の違い(生み出せる付加価値の違い)をもたらすのだと思います。」
 
以下のサイトの記事に関連して
 
「同じ大卒であれば、どの大学に行っていても、その後の人生で得られた賃金に、ほとんど差はなかった」と記載されていますね。 つまり大卒と高卒の所得格差ではなく、卒業大学による格差を議論しています。大卒と高卒で平均生涯賃金に格差があるのは統計的な事実(相関関係)です。 
 
ただし因果関係となると難しい。 将来の所得格差の原因となる行動特性の違いがもともと生じており、大学進学も所得の大きさもその行動特性(原因)の結果なのかもしれないという推測が成り立ちます。 私もある程度そうなんだろうと思います。
 
それではその大元の行動特性の違いは何を原因に生じるんだ? 遺伝か家庭環境か、その双方の相互関係か、相互関係ならそれはどのような仕組みで作用しているんだ?と展開し、謎の深みにはまっていきます(^_^;)」
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