今朝の日経新聞web版のマネー欄、北沢編集委員の記事で私のインタビューが引用、掲載されております。
「株も不動産もリスク性資産は不況の時にこそ買おう」 弊著作でも繰り返していることですが、基本にしてかつ極意だと思っています。

以下ご参考まで<(_ _)>
http://www.nikkei.com/money/features/32.aspx?g=DGXLMSFK2800A_28082014000000&n_cid=DSTPCS008&df=2

引用:「「株式に長期投資するなら不況のときだけ買うべきだ」。龍谷大学教授の竹中正治氏はそう主張する。 グラフに見るように、株価は景気の波と連動しながら上げ下げを繰り返す。ならば、相場が下がって十分安いときに買い、高値圏が近づいてきたと思ったときに売ればいい、という。言うはやすく、行うのは難しそうなこの「不況時の株式買い」を、竹中氏は実践してきた。

竹中氏が日本株投資を始めたのは、日本が消費税率引き上げや金融危機で不況のさなかにあった1998年。株式市場がITバブル崩壊に見舞われた00年以降も、評価損を抱えながら少しずつ買い増していった。

損益がプラスに転じたのは03年で、相場が戻り歩調の04~06年には何度かに分けて保有株を売却。その後はいったん日本株投資を休止したが、リーマン危機後の09年に再開し、10~12年の3年間はじっと株価の回復を待ち続けた。そして株価が急反発した昨年は戻り売りに徹し、今は「保有株数を半分程度に減らしたところ」という。

経済の専門家でもない普通の人は、どのように景気の好不況を判断すればいいのだろう。竹中氏は2つの方法を挙げる。

1つは内閣府の景気動向指数のうち、景気の山谷を示すCI一致指数(グラフ参照)の方向で判断する方法だ。一致指数が下げ続けてきたら買いの準備を、上げ続けてきたら売りの準備をする。同指数は株価の遅行指標だが、「長期投資なら慌てずゆっくり反応していい」という。

2つめが四半期ごとに日本経済新聞に載る「業界天気図」を利用する方法で、「雨」の業界が増えているのか、「晴れ」の業界が増えているのかを見る。

竹中氏が「好不況の判断以上に大切」と話すのは、近視眼的な思考で株価の水準を判断しがちな、心理的バイアス(アンカーリング効果)の克服だ。例えば、日経平均が8000円台で低迷する時期が長く続くと、多くの人は1万円がとても高く感じてしまう。

すると、せっかく8000円台で投資できても、大台に乗ったとたんに喜んで売ってしまい、その後の上昇相場は指をくわえて眺めるしかなくなってしまう。そんな心理的バイアスをコントロールするには、「10年、20年の株価チャートを見て、大きな流れの中で株価の水準を判断するのが有効だ」と強調する。」
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「不況の安い時に買え、わかっちゃいるつもりだけど、できないのよね~」
まあ、何事も「わかっちゃいる」程度のことの実践を徹底できるかどうかで、成否の7割ほどは決まるんでしょうね。

そして「わかっちゃいること」を徹底していると、そのうちに「わかっちゃいなかったこと」が見えてくる。
ここでさらに伸びる。私もまだまだ修行中ですが、仕事、勉強、投資、みなそんなもんでしょう。
 
景気循環を反映した株価の変動に関して、効率的市場仮説から想定できる株価の変動性よりも、実際の変動性ははるかに大きいのだろうと思います。
 
この点について研究では、株価の変動性は正規分布ではなく、それよりもfat tail(正規分布が想定するよりも稀な大変動の頻度が高い)であるとか、急騰、急落局面には株価の変動に時系列的な相関性が生じるとか、そういう形で表現しています。
 
つまり株価に限らず相場はしばしばオーバーシューティングするということですね。だからオーバーシュートした局面を買ったり、売ったりできれば、超過リターンが生じる。 しかしどの水準からオーバーシュートなのか、それを見極める理論モデルを作るのは難しいようです。
 
私はドル円については、実質相場指数の長期的な平均値からプラスマイナス10%をフェアウエー、それをはずれたら行き過ぎ(オーバーシュート)というのをめどにしているんですが、所詮経験則的なめどでしかない。 
 
株価についてもオーバーシュート現象を、経験則ではなく理論モデルとして構築して説明できるとすごい成果になるんでしょうが、難しそうです。
 
追記: 効率的市場仮説の世界では、市場平均を継続的に上回る投資リターンをあげることは不可能とされています。 なぜなら、ある投資手法で超過リターンがあがることがわければ、みな真似するから、その投資の超過リターンは消えてしまうからです。  
 
短期売買の世界では私は、この仮説は概ね正しいと思います。  しかし「不況期に買え」は、合理的かつ長期投資に徹する人間にしか利用できない投資方針で、そうした市場参加者はかなり少数ですから、超過リターンの可能性があるのだと思っています。 
 
みなさんできるだけ真似しないでくださいね(^_^;)
 
さらに補足追記:「不況の時に買えは一種のマーケットタイミングだと思うが、それで本当に超過リターンが上がる確証があるのか?学問的な検証ではマーケットタイミングによる超過リターンは検証できないと言われているようだが」
 
マーケットタイミングもいろいろで想定のおき方、ルールの設定の仕方次第で良い結果が出たり、出なかったりします。  ですから、過去に成績の良かった手法で将来の好成績が保証される確証はないという厳密な意味では、「マーケットタイミングで超過リターンは検証できない」というのは正しいと思います。  
 
従って私も「可能性がある」という控えめな表現にしています。 しかし人生を通じた投資は繰り返すことのない一回限りの歴史的な現象ですから、そもそも確証なんて不可能、ある程度の可能性(蓋然性)があれば十分やってみる価値があるし、成功をおさめる方々も出てくる。 その点が「学問的な知識」と「実践的な知恵」の違いかなと思います。 確証を求める方は投資には不適ですね。