さて、ドルの対円相場が100円台前半の膠着を抜けて107円台まで上がって来たので、実質ドル円相場指数を更新しました。ホームページの更新は月に1回なので、更新が遅れますが、とりあえずこのブログに掲載しておきます(以下添付)。ボールはドル割高のラフにしっかりと飛び出してきました。
10年物米国債で見たドルの長期金利が2.5%を中心としたレンジからなかなか上に上がらないので、以前ロイターで書いたように110円近辺の相場は来年年明けかな・・・と思っていましたが、そういう感じでもなくなってきましたね。 やっぱり相場の短期的な予想なんかコメントするんじゃなかった(^_^;)
新たに対円でドル買いが急に強まった背景には次の2つがあると思います。
1、GPIFの運用改革で日本株だけじゃなく、外貨投資(株と債券)の比率も増える→円売り、という思惑。塩崎氏が安倍内閣改造で厚生労働省の大臣になったので、一気にこの思惑が強くなったようですね。
2、米国の利上げタイミングの時期が来年に少し早められるのではないかという思惑。
実際、円のみでなくドルは対ユーロでも上がっていますからね。
金曜日の以下のCNBCニュースがそうした米国の雰囲気の変化を伝えています。
quote: Wall Street appears to increasingly expect the Fed to send a more hawkish message when
it meets next week.
Bank of America Merrill Lynch economists said they now anticipate the first Fed rate hikes in
June 2015, instead of September, and they expect the central bank Wednesday to drop
language in its statement, saying it expects to keep rates low for a "considerable time."
The Wall Street consensus for the first rate hike has been mostly around midyear and third
quarter, 2015. But it appears to be shifting to the midyear mark.
10年物米国債も8月下旬の利回り2.3%近辺から9月に入って2.6%まで上がって来ました。
金利引き上げのタイミングとその後の引き上げのテンポに対する市場の雰囲気は、昨年から猫の目のようにくるくる変わってきましたから、目先どうなるかわかりませんがね。
仮に現在の市場の支配的な雰囲気のまましばらく推移するとすると、米国株は高値圏もみ合い、反落もあり、日本株はドル金利上昇とGPIF期待で、米株が高値圏もみ合いなら日本株じり高、ドル相場も堅調・・・ということになりそうです。 でもやはり米国株の反落の度合いが大きければ(例えば直近高値から5%前後かそれ以上の反落)、日本株もしっかりと売られるんでしょう。
一気に110円がらみまでドル上昇?
わかりませんね。シカゴIMMの非商業筋の円ショート持高も急速に積み上がって来ていますので、あまり相場の目先の動きに惑わされないようにお気をつけください。
まあ、いずれにせよ私の方針は不変です。為替ではドルヘッジをじわりじわりと積み上げます。106円台で少しドル売り増して、ヘッジ率を65%から70%に上げました。
米国株のヘッジでは、7月に入ってから始めたダウ先物ショートのETNでヘッジ率25%、これをキープ。
補足:今回、図中に赤い細い線で示したのは消費税引き上げによる日本の企業物価上昇分を調整した(その分を物価指数から除いた)実質相場指数ベースです。
実質相場指数は図中の計算式が示す通り、PPPが分母になります。しかし消費税率引き上げによる物価上昇分は、円の対外的な購買力とは関係ないはずですから、PPPを計算する場合は消費税率引き上げ効果を除いたベースで計算するのが本来的には正しいのでは・・・・という思いがあるので。
ただし消費税率分がすべて価格転嫁されているわけでもないので、そこは大雑把に8割価格転嫁とみなして、今回の3%引き上げなら、企業物価の2.4%上昇分が消費税率引き上げによるものとして調整しました。1989年、97、2004年の消費税率分を全部同様に調整してます。
調整後は日本の企業物価が下がります →PPPが円高方向にシフト →PPPを分母にした実質相場指数は円安方向にシフトとなります。