サンフランシスコ連銀のブリーフィング・ペーパーが痛烈で面白い。
一般向けに書かれているので、エコノミストでなくてもわかる内容だと思う。
一般向けに書かれているので、エコノミストでなくてもわかる内容だと思う。
Persistent Overoptimism about Economic Growth
米国の金融政策を決定するFOMC、そのメンバーのGDP予想だが、2008年から09年にかけての戦後未曽有の不況への転換を予想できなかったばかりか、その後も予想値が現実値を上回る上方バイアスが続いた。なぜ?
複数の要因が指摘されているが、最後に指摘されている点がなかなか痛烈で面白い。
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quote:"A final explanation for the pattern of SEP growth forecasts may be linked to a natural
human tendency to assume that recent trends will continue. Research shows that people tend
to use simple forecast rules that extrapolate from recent data (Williams 2013).
For example, one could forecast four-quarter growth over the coming year using only the most
recent observation of quarterly growth in the preceding year. The backward-looking nature of
this forecasting rule would help explain the failure to predict recessions."
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合理的期待形成(rational expectation)仮説は、人間は利用可能な情報を全部利用してforward-lookingな予想(期待形成)を行なうことを前提にしているが、実際の人間行動はそうじゃないよ・・・ということは行動経済学の研究成果などで積み上げられてきたことだ。
予想のバイアスはいろいろあるが、実際には直近の経験(事実)に強く依存して将来を予想する、つまりbackward-lookingな傾向が指摘されている。
私も銀行での長いディーラー経験から、人間は直近のトレンドをそのまま近未来に単純に延長して予想するもんだ・・・と思ってきた。
上記の引用部分は、FOMCのGDP予想が直近の過去のGDP実績値と高い関係を持っていること(掲載の散布図)、つまりbackward-lookingな予想がなされていることを指摘している。
最後に言っていることがまた痛烈でいい(^。^)
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quote:"Overall, the evidence raises doubts about the theory of “rational expectations.”
This theory, which is the dominant paradigm in macroeconomics, assumes that peoples’forecasts
exhibit no systematic bias towards optimism or pessimism.
Allowing for departures from rational expectations in economic models would be a way to more
accurately capture features of real-world behavior (see Gelain et al. 2013).
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このテーマについてもっと議論を深めたい方は、とりあえず以下の書をお薦め致します。
「合理的市場という神話」(The Myth of Rational Market)ジャスティン・フォックス、2010年
Max-Tでレビューを書いています。
近著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法」(光文社)2013年5月20日
↑New!YouTube(ダイビング動画)(^^)v