毎度のトムソン・ロイター社のコラムです。本日夕刻掲載されました。
あらためてShiller PER(CAPE Ratio)について取り上げました。
下図ご参照ください。
冒頭部分引用:「リーマンショックで戦後最大の景気後退となった2009年以降、筆者は米国の実体経済の回復と株価動向について長期楽観のスタンスをとってきた。しかし、実体経済面で大きな問題がなくとも、大小の様々な波乱が起こり得るのが株式相場というものだ。
高値を更新し続けてきた米国株価については、1―2年前から「割高だ。バブルだ」「いや問題ない」などブル対ベアーの議論が展開されてきた。米国株式は変動性が大きいものの「バイ&ホールド」の長期保有が報われるので筆者自身は原則保有継続のスタンスだが、リーマンショック後のような割安感はすでになくなっている。
したがって、ポートフォリオに占める比率はある程度落とし、目立った反落(直近の高値から10%前後がめど)があれば買うスタンスが合理的だろうと思う。その理由を説明しよう・・・」
「ただ、シラーPERのそうした限界性に配慮して使用するなら、長期的な投資判断の参考になると筆者は考えている。
図は戦後を1946年から1989年までと1990年から2015年1月までの時期に分けて、シラーPERと10年間のS&P500の実質投資リターン(消費者物価指数で調整、配当利回りを除いたキャピタル損益のみの実質年平均リターン)の相関を示した散布図だ(月次データ)。横軸がシラーPERの水準、縦軸がその時点でS&P500連動ファンドに投資した場合10年後に得られる実質年率リターンを示している。
赤で示した1990年以降の分布が青の1989年以前の分布より右にシフトしているのは、既述のシラーPERの上方シフトを示している。このように時代区分して使用した場合のシラーPERと実質投資リターンの相関度は非常に高い。シラーPERが高い時に投資すれば、10年後の投資リターンは低くなるという明瞭なマイナスの相関関係が見られる。
1946―89年については、決定係数(R2)が0.64であり、これは投資時点のシラーPERの水準次第で10年後の実質リターンの水準が64%決まってしまうことを意味する。1990年以降ではR2は0.87とさらに高く、投資時点のシラーPERの水準で実質リターンは87%決まってしまう・・・」
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近著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法」(光文社)2013年5月20日
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