5月15日に発表された財務省の法人企業景気予測調査(←クリック、5月15日調査時点)の結果を見て、はて?と思った。
景況認識は、1-3月と4-6月がマイナスだが、7-9月、10-12月はプラスとなっている。要するに今年前半は景気が下降しているが、今年後半は回復に転じると予想する企業が多いのだ。
その根拠は? 少なくとも私には短期的に景況が目立って上昇する要因が見当たらない。むしろ下振れリスク要因の方が多い。下振れリスク要因は、①BREXIT、②中国リスク、③資源価格低迷(再下落)、④トランプ・リスクなどである。
それにもかかわらず下期の景気回復予想となっているのは、通年の業務計画から生じる慣性、悪く言うと辻褄合わせの結果かもしれない。
昨年までの企業業績は、資源と中国関連は目立ってへこんだが、通年で見ると概ね右肩上がりだった(以下掲載図参照、経常利益の推移に重ねた青色の破線は同4四半期移動平均線)。 その結果、今年(今年度)の計画は、平均的にみると前年比横ばいに近いものが出来上がったのだろう。
実際、3月の日銀短観を見ると、2016年度の計画は、全規模合計で「売上高」横ばい(前年度比0%)、経常利益微減(同-2.2%)となっている。
そうした業務計画の下で4-6月が始まったのだが、足元の動向は良くない企業が増えているようだ。この足元の動向をそのまま延長すると通年では、相当下ぶれた実績となってしまう。しかし年度がまだ始まって間もないのに、いきなり計画を下方シフトすることは、大企業ほどできない。組織としての意思決定の慣性の法則が働くからだ。
そこで景気見通しも、それに整合的なものを回答すると「下期の回復」を見込んでいるというシナリオになるということだ。 そういうことではなかろうか? まあ、私の見立てが外れれば、日本経済としてはそれに越したことはないのだが。
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日本経済・景気動向並びに日本の株価などに関するトムソン・ロイターその他掲載の過去の論考は以下の通り。 見通しのタイムスパンはいずれも短期から中期(1~3年前後)です。
2013年1月: http://jp.reuters.com/article/tk0589489-forexforum-masaharutakenaka-idJPTYE90A05720130111 楽観見通し
条件付き楽観:デフレ脱却には賃金上昇が欠かせない。
2014年8月:http://jp.reuters.com/article/kbn0gb000-forexforum-masaharutakenaka-idJPKBN0GB00420140811 条件付き楽観
黄色信号点灯:悲観シナリオへの転換点
悲観見通し
追記:ドル円相場が動いたので実質」相場指数を更新しました(以下掲載図)。
ホームページでの掲載は後日になります。先にブログに掲載しておきます。
ようやくフェアウエイのなかに戻ってきました。もっともまだフェアウエイの上限近辺ですが。