あなたは東京都の経済的な「もの凄さ」に気が付いているか?!

東京以外の方には申し訳ないが、私のように東京都心と京都を往復して暮らしていると、日本経済の「停滞」とか「衰退」とか、実は肌感覚と合わない。東京駅は観光客とビジネス客でごった返し、駅ビルの商店街には人の列、絶品のスイーツがリーゾナブルな価格で売られ、高層ビルの建設は絶えない。

しかし、数字で示せば、実は自然なことなんだ。先日、1ドル=100円で換算すると日本の一人当たりGDPはぐんとランキングアップし、英国のランクは急落することを示したが、東京都の一人当たり名目GDPのドル換算を示すと以下の表の通り。

例えば1ドル=100円で換算すると、東京都の一人当たりGDPは7万ドルでシンガポールの約5万3000ドルを大きく凌駕し、しかも人口は東京都がシンガポールの2.4倍だ。1ドル=87円で換算すると、世界の超富裕国スイスに並び、しかも人口はスイスの1.6倍である。

東京都は世界トップクラスの巨大人口&富裕地域なのだ。

そして、その知事を選ぶ選挙が目前に控えている。居並ぶ候補者の顔ぶれを見ると・・・う~ん、80年代に「日本は経済は1流、政治は2流」という言い草が出回ったが、その点はあまり変わっていないのかもしれない。


ところで、一人当たりGDPでルクセンブルグがなぜ超富裕国家なのか? 実はタネがある。GDPの計算はその地域で生産される付加価値の総額だ。一人当たりGDPは、その地域に居住する人口でGDPを割ってもとめる。ルクセンブルグのようにミニ都市国家で周辺地域から通勤する非居住人口が多いと、労働人口(=居住労働者+非居住労働者)に比べて居住人口が小さくなり、結果として一人当たりGDPは大きくなる。シンガポールもマレーシアとの関係で同様の面がある。

程度の違いはあるが、近隣県から通勤する人が多い東京も実は同様の事情で一人当たりGDPは高く出る。 GDPは生産される付加価値の総額だ。近隣県から東京に通勤して働いている人達は、東京で生産された付加価値のうちから給与所得をもらっていることになり、所得で見るとその分東京から近隣県に所得が移転していることになる。

そこで県民一人当たり所得で見ると、どうなるだろうか。東京と神奈川を比べてみよう。

県民一人当たり名目GDP: 東京700万円、神奈川333万円 東京の対神奈川倍率2.1倍
県民一人当たり名目所得: 東京451万円、神奈川297万円 同倍率1.5倍
(2013年)

一人当たり名目所得で見ると、東京の対神奈川倍率が下がるのは、東京から神奈川に通勤者の給与所得などが移転しているからである。

以上まとめると以下の通り。
1、生産される付加価値の総額である一人当たり名目GDPで見ると、東京都は世界トップクラスの巨大人口&経済富裕地域である。

2、シンガポールやルクセンブルグのような都市国家が、一人当たりGDPで世界ランキングの上位にくるのは、近隣地域からの通勤労働によってかさ上げされている面がある。所得ベースでみるとランクは相対的に下がるはずである。

データ:内閣府サイト、県民経済計算
http://www.esri.cao.go.jp/…/s…/sonota/kenmin/kenmin_top.html


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