マンション暴落が来る?
まあ、1980年代末のような狂い方ができるほど、日本人は既に若くないから、基本はプチ下がりだと思う。
それでも直近の高値から20%も下がれば、在庫を抱えた業者は大赤字、資金繰りに行き詰まる業者も出てくるだろう。

私が近年継続的に見ている添付のグラフ(上段)は、成約件数に対する在庫比率(赤線)が上昇し(左、逆メモリ)いよいよ「水位が満杯まで上がったダム」の感じになってきた。在庫比率の変化は価格の変化に対して約1年弱先行している。つまり在庫比率が上がり過ぎると(逆メモリなので下に動くと)1年弱遅れて価格が下がり始める。 今年の4月にマンション価格の割高を警鐘した時よりもさらに在庫比率の上昇が鮮明になっている。

中古マンション価格指数(青線、右メモリ)は前年同月比でまだ5%弱のプラスだが、前月比ベースではマイナスの月も出始めている。下段のグラフは著作で紹介してきた中古マンション(東京)のPRR図表だ。 

以下の9月13日の日経新聞の以下の記事も、「ダムの決壊」が遠くないことを示唆する前兆現象を記述しているように思う。
 
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日経新聞引用:「「投資用マンションを買える顧客の目安は数年前まで年収600万円以上だった。今は銀行審査が緩くなり400万円でも購入できるようになった」(不動産会社幹部) (そんな輩は2~3か月も空室になるとローンの返済ができなくなり、結果として担保物件が安く売りに出てくる。竹中)

 融資の現場では「不動産の担保価値の100%を融資します」といったローン商品でノンバンクが銀行から顧客を奪っている。対抗するため大手行でも厳格な返済条件を課すなどした上で「担保価値の120%貸す裏技も登場している」(関係者)という。

 「もう1棟、1億円の物件を買いませんか」。福岡県で2億円のマンション1棟を買った年収1000万円の会社員は最近、こう誘われた。もう1棟買えば3億円の借金を抱えるが「銀行融資は通りますよ」という誘いに心が揺れる。地銀の今年6月末の事業融資残高は前年比2.9%増。うち2%分は不動産向けだ。信用金庫では2.1%増のうち1.7%になる。」

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ただし今回局面がこれまでのマンション市況の循環と異なるのは、長期国債利回りがマイナスにまで下がり、運用難に陥った長期運用資金の一部が不動産にシフトしている可能性があることだ。現下の超低金利はまだ長引くだろう。そうすると割高に見えるマンション価格も過去より持続する可能性は捨てきれない。

それを検証するために、長期金利と東証REIT指数や中古マンション価格指数の変化の相関関係をチェックしてみたが、とりあえず有意な関係性を見出すことはできなかった。この点は引き続き検討事項として、何か発見があればブログで追報しよう。

追記:不動産経済研究所、8月のレポート、新築の下落は始まりましたね。


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