毎度のロイター・コラムです。本日夕刻掲載されました。

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結論部分の抜粋:「私は2018年の実質成長率は2.5―3.0%になるだろうとイメージしている(2000―16年の平均は2.0%)。株価が2017年末時点で減税による企業利益の押し上げ効果をどの程度織り込んでいるかについてはなんとも言えないが、おそらく株価もまだ高値更新を続けるだろう。

しかし、大局観としては2009年を底にした米国の景気回復はいよいよ「成熟局面」に入ったと言えるだろう。長期投資の要諦は「陽(陰)の時に陰(陽)の兆しを見る」である。米国の次の景気後退は、トランプ政権の後半である2019―20年のどこかで始まると、これまで大づかみに考えてきた。
今回、もう少しきちんと検討した結果、次期景気後退の始まりは2020年の前後1年というめどが立った。また、景気後退が始まった場合、どの程度の株価下落が起こり得るかも考えておこう。」

「1950年までさかのぼって景気回復期の高値から景気後退期にS&P500株価指数がどの程度下がるか見ると、景気回復期の株価の高値から景気後退期の安値までの下落が10回、さらに景気後退にはならなかったが、30%以上の下落が起こったことが2回(1987年と2002年)ある。直近高値からの平均の下落率は31.2%、下落率最大は49.9%(1973―74年)、最小は14%(1959―60年)である。

もちろん、次の景気後退時の株価下落が、いつ起こり、どの程度になるか、合理的にピンポイント予想する手法はない。景気後退時に大きな下落があり得るからと言って、米国株の投資残高を慌てて手じまいする必要もない。米国株価指数での定額積立投資をしている場合には継続するのが良いだろう。景気後退が始まるまでにまだ相応の時間があり、それまでに米国株がどこまで上がるか、事前には予想困難だからだ。

最も重要なことは大きな下落が起こっても、そこは絶好の買い場であり、米国の株式市場では長期にわたる「buy and hold」(長期保有)戦略が有効であることだ。「米国資本主義はもうおしまいだ」と言わんばかりの悲観論を声高に語る筋がまたぞろ出てくるだろうが、惑わされてはいけない。2008年のリーマンショック時にも、私は各種の著作の中でそう説き、自らも実践した。次の景気後退時の方針も同様である。」

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