毎度のロイター・コラムです。
本日夕刻に掲載されました。


抜粋引用:「むしろ注視すべきは長期にわたるハイテク分野での米中覇権争いの方だ。この点に関連しては少し前になるが、「米国経済の優位はこの先10年続く」(2015年1月14日付)のコラムでの「イノベーションにおける米国の優位」で述べた内容から私の見解は変わっていない。「この先20年」に延長しても同様だ。そのように考える論拠を1つだけ示しておこう。

今日、アマゾン・ドット・コムやグーグル、フェイスブックなどに代表されるプラットフォーム・ビジネスが人工知能(AI)やクラウド技術を伴って世界を席巻している。中国でも巨大な国内市場規模をベースに同様の企業の台頭が顕著だ。

ところが、中国は国家としてジョージ・オーウェルが小説「1984年」で描いたような監視社会、ビッグブラザー資本主義に向かっている。つまり、中国系プラットフォーム企業を利用することで情報が中国共産党に筒抜けになる体制だ。中国国内であればそれで仕方がないと思うのだろうが、中国外でそのような仕組みを受け入れることは、ユーザーにとっても、その国の政府にとってもあり得ないだろう。そこに限界が生じる。 」

米国の景気後退局面では株価指数は間違いなく下落し、回復期には期待に違わず上がってくれるので、不況期に少し買い増しさえすれば、長期の年率リターンが10%を超えることも容易だ。にもかかわらず多くの日本の投資家が、長期的には為替相場の変動で円金利利回りと同じ低リターンに収束する高金利外債投資という無駄な投資を繰り返してきたのだ。 

2008年のリーマン・ショック時の米国株価暴落は絶好の米国株投資チャンスだった。私が著書「ラーメン屋vs.マクドナルド」)で「日本の個人投資家層も万羽のミニハゲタカとなってよろめく巨象、米国の金融資本市場をついばもう」と書いたのは2008年9月だ。

ところが、残念なことに世間に出回る「米国金融資本主義凋落論」などに幻惑されて、米国株式投資に動いた日本の個人投資家はわずかだったはずだ。次の米国景気後退局面では、日本から万羽のミニハゲタカが米国資本市場の空に舞うことを願っている。」

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