毎度の講談社、現代ビジネス、マネー現代に掲載されました。
掲載では図表は3つに絞ってありますが、あと2つ補足図表をここに掲載しておきます。
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一部引用:「日経平均株価指数や米国のS&P500などに連動した投資信託やETFで長期分散投資(インデックス投資)を行う個人投資家が日本でも増えてきたようだ。
そこで株価のボラティリティ指数を利用することで、インデックス投資の中長期のリターンを劇的に引き上げる簡単な手法をご紹介しよう・・・
最後に「こんなに簡単に長期の投資リターンが上がるなら、なぜ投資家はみなそうしないのか?」という問いに答えよう。
まず金融機関のディーラーと呼ばれる人達はその職務の性質上、短期売買を運命付けられており、長期投資の手法を利用できない。また生保や年金運用の委託を受ける機関も長期性の資金でありながら、毎期ベンチマーク対比で評価されるため2~3年間もナンピンを継続するような本当の長期投資手法は使えない。それができるのは個人投資家だけなのだ。
またアカデミズムでは「株価指数が示すような市場平均の投資パフォーマンスを長期にわたって上回ることはできない」という効率的市場仮説が依然支配的である。
しかし現実の市場でこの仮説が適用できるのは8~9割程度の平常な局面であり、残り1~2割程度の局面では投資家は過度な悲観や楽観に捕らわれる。
そうした局面では価格形成の合理性が壊れ、株価の過小評価や過大評価が発生する。ボラ指数を手掛かりにそうした極端な局面で逆張り投資することでリターンの向上が実現できるのだ。
筆者が考えるインデックス投資でリターンを向上させる要諦は、①景気後退期に買い、景気回復期に売る、②インデックスがその長期移動平均から乖離度が大きくなったら逆張りする、③本論で述べたボラ指数を重要な判断材料とする、以上の3つである。
筆者自身は3つの観点を総合して投資判断を行っている。ここで示したボラ指数の一定水準で売買を行う試算は、ボラ指数の有効性を検証するためのものであり、実際の運用はもう少し柔軟性があってもいいかもしれない。」
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図表1から3は掲載本文と同じものです。
図表4は本文中でケース④として示した投資の累積投資額と資産時価評価額の推移を示したもの。
図表5は日経平均VIの下位16.5で日経平均ETFを売り、上位33で買った場合に、各売買時点で日経平均の3年移動平均値をどの程度上回っているか(売りの場合)、あるいは下回っているか(買いの場合)の分布を示したものです。
売りの場合は99%で3年移動平均値を上回っており、平均上回り率は17%、買いの場合は89%で3年移動平均値を下回っており、平均下回り率は22.6%です。
つまり日経平均VIの水準を手掛かりに売買することで、中長期的なbuying low selling highが実現できることを示した散布図です。
図表1
図表2
図表3
図表4
図表5