厚生労働省の給与統計データ(毎勤統計)は、厚生省の不適正統計作業ですっかりケチがついてしまったので、国税庁のデータで見てみよう。
徴税に基づくデータなので年一回、しかも遅いので直近で2017年までのデータしかないのだが、2013年以降の平均民間給与伸び率は名目で見ても、実質で見ても、1991-2012年の年率平均値(名目-0.17%、実質-0.28%)を明瞭に上回っている(名目+1.16%、実質+0.55%)。実質調整は消費者物価指数(総合)を使用している。
ちなみに1980-90年の実質平均民間給与伸び率は1.18%だったから、2013年以降との差は0.63%、まあ、それほど大きな差ではないんだよね。
それでも80年台と富裕感が違って「実感がわかない」とか言われる理由は?
①株価、不動産などの資産価格が80年台はぎんぎんに右肩上がりだった。
②85年から95年まで急速な円高で海外旅行すると海外での買い物が安く感じられた。
③年功序列の賃金体系の中で若い時は給料安くてもやがて給与が上がると言う「右肩上がり期待」があった。
④80年台までは中国など周辺国が相対的に貧しかった。
⑤80年台は平均インフレ率が2.7%もあったので、そのことによる貨幣錯覚があった・・・・などではないかな。