たけなかまさはるブログ

Yahooブログから2019年8月に引っ越しました。

2010年10月

行政刷新会議によるいわゆる仕訳会議、その外為特別勘定(外貨準備)のセッション(10月30日)に「外部専門家」のひとりとして参加して来ました。
 
以下の「にこにこ動画」のサイトで全ての録画をご覧になれます。
主役は民主党の議員先生方ですから、わたしらは脇役、端役ですが、多少は申し上げてきました。
 
以下、にこにこ動画
 
皆様、本件に係られた全ての皆様方、お疲れ様でした。
会議の成果が実を結ぶことを祈念しております。
 
 
 
 
 

毎日新聞社「エコノミスト」11月の臨時増刊号(11月1日発売)「通貨戦争の泥沼」に以下の私の論考が掲載されました。
 
「戦後国際通貨史、金・ドル本位制は、どのように変容していったか」
 
特集の目次は以下の通り。
1、通貨戦争の現実
2、為替相場は可能か
3、円高と日本経済
4、海外投資と為替リスク
5、新興国通貨投資
6、国際通貨システム
 
私の論考は6に掲載されています。
ぜひ、書店あるいはアマゾンなどでご購入ください。
 
 
 

量的金融緩和パート2(QE2)に関する昨日のWSJの記事です。
“Some investors appeared disappointed by a report in The Wall Street Journal on Wednesday that said the Fed was likely to spend a few hundred billion dollars on its initial purchases, a lower
number than some had hoped and much less than the $2 trillion advocated by some economists.
Many also believe that the markets already had squeezed out most of the juice from any planned
easing, before it had even happened.”
 
先週末招かれたFX某社でのパネルでも、FOMCのQE2効果を期待した株買い、債券買い、ドル売り持ち高が積み上がっており、政策が発表された後の短期的な動きは持ち高の巻き戻しによる株売り、債券売り、ドル買い戻しということで私を含む3名の意見がそろってしまった。
まあ、相場材料は何事も先取りしてポジションを備える米国の金融市場では一般的な現象ですが、どの程度の巻き戻しになるかは、やはり不確実で分かりません。
 

さて米国の量的金融緩和による資金が新興諸国などに流れ込んでバブルが始まっているのではないかという記事が目につくようになった。このまま新興国株価のETFとか持ち続けていていいのか?
 
この点で世界の主要国の株価指数ベースのPER(株価収益率)が一覧できる便利なサイトを見つけました。
 
キャピタルパートナーズ証券会社が提供しているデータとのこと。企業収益は直近予想ベース。
20倍以上は「割高」とされているが、あまり機械的な適用はできない。
というのは、2009年のように景気が大きく落ち込んだ時は、企業収益も大きく落ち込み、赤字にもなるので市場全体のPERも非常に高くなってしまう。その時に「PERが割高だから投資するのはやめておこう」と判断すると、チャンスを逃してしまう。
 
以前紹介したS&P500のPERサイトのように趨勢的な企業収益をベースに市場全体のPERを考えた方が良いのだろうが、ほとんどの情報サイトは直近過去決算か、今期見込みベースにしたPERしか提供していないので、とりあえずこれで我慢するしかない。
 
ともあれ、このデータで見ると、20倍越えの割高の新興国はまだない。インドの19.4倍が最高。
中国は2007年の春に私が北京に出張した時は、上海総合指数で4000台、PERも40倍から50倍とばぶっていた。
 
北京の軟件大学院で単発の講義をしたときに、学生諸君からこうきかれた。「先生は中国の株はバブルだと言うが、私もそう思う。しかし、この株価どこまで上ると思うか? 5000を超えるか?6000を超えるか? まだ上るならボクは買いたい」
「そういうこと言っていること自体がバブルそのものだね」と答えました。
結局その後6000まで上って、そこから2000割れまでクラッシュしましたね。
またじわりじわりと上ってきた。
 
まことに怖いけどやめられないチキンゲームですねえ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

もう公表、報道されましたが、10月下旬に開催される行政刷新会議の事業仕訳会議、外為特別勘定(外貨準備を扱う勘定)の外部専門家のひとりとして招聘されました。
 
実は既に2度の準備会合・勉強会など参加して、蓮舫議員のオーラとレーザービーム(目線光線)も浴びてきました。
私は仕分けの主役である「評価者」ではなく、「外部専門家」として特定セッション(外為特別勘定)で意見を言う立場だから気が楽です。
 
 

Yahoo Japanの動画ニュース、ご覧になった方も少なくないでしょうが、あまりに象徴的なので掲載します。
 
空室率90%以上! 賃貸収入を生まない住宅不動産が、値上がり期待だけで買われた値が上がっている。
住宅価格は住民の平均所得の30倍、40倍(日本やアメリカの住宅バブルのピーク時は10倍前後だった)。
あまりにも分かりやす過ぎる。これがバブルでなければ、この世にバブルはあり得ない。
 
やはり今の中国はバブルの頂点に向かって全力疾走しているように思える。
でも、それがこれまでずうっと続いてきた。
それがいつはじけるか?直感的には数年以内だと思う。
怖いなあ・・・ 

1123日のFOMCFRB5000億ドル規模の量的金融緩和の追加策(Quantitative Easing 2、略してQE2)をするだろうという観測で市場は走っている。というよりも、バーナンキ議長が既に市場にそうした予想を織り込ませる発言を繰り返しているので、QE2はほとんど確実視されている。規模はまだ分からないが、方法は国債の購入だろう。
 
目先のデフレと景気低迷リスクを回避するために、QE2は不可避と考えるエコノミストは多数派で、私もそう思うが、副作用も考えておいた方が良い。2008年初までの通常手段(伝統的な手段、つまりFFレートの引き下げ)による急速な金融緩和で何が起こったか? 原油をはじめ国際商品市況のバブル的な高騰が起こり、そして089月のリーマンショックを契機に価格は崩落した。
 
日本の2000年代のQEも世界的な円売りキャリートレードを助長し、世界的な資産価格の高騰や高金利通貨の高騰に「貢献した」とも言われている。実証は難しいが。
 
これからFRBがやろうとしているのは、基軸通貨米ドルの空前のQE2段である。それによって生じた過剰な流動性が、新興国や国際商品市況に流入してバブルをうみ出す副作用は当然あり得る。いや、それはもう始まっている。
 
 ブラジルは海外資本の流入による自国通貨相場の上昇圧力を懸念している。中国は、これまで内外の資本移動については厳しく規制してきたが、貿易黒字ばかりか貿易決済のリーズ&ラグズやその他グレーな手段で流入する海外資本による中国元の上昇圧力を莫大なドル買い・元売り介入で押しとどめている結果、国内の流動性過剰が不動産など資産価格のバブルを助長している。
 
 この中国の問題は、中国がドル買い介入を止めて中国元の上昇を受け入れれば解消する問題である。しかしながら、そのことで生じる中国元相場の大幅な上昇は中国の既存輸出産業に打撃を与えることになるので、中国政府にとって短期的に採用できる選択肢ではないようだ。とすると、米国の量的金融緩和パート2の副作用の結果を私達は数年後に中国など新興国でのバブル崩壊として目撃することになるのかもしれない。
 
 とってもそういう気がしてきた。でもまだ数年先かもしれない。グリースパン時代の2001年に始まった大胆な金融緩和が住宅バブルとその崩壊に帰結したのは2006-07年だったしね。
 
 「崖まで数年ある。まだまだ走れるぞ。今降りたら損だぞ」そういうわけで新しいチキンゲームが始まったようだ。私ももうちょっとはゲームに付き合いましょうかね。
 
追記:
以上の通り、新興市場の株式は長期的には高い成長が望めそうだが、同時に2010年代にバブルに向かう可能性も高いと思う。ではどうしたらよいか?
 
まず投資手段としては、私は以前も紹介したがETFのMSCI-Emergingが、今日本で利用できる新興国向け株式分散投資の手段としては、手数料コストも含めて投資家にとって最も効率的だと思う。
 
これに投資して、どれほどのリターンとリスクを見込むべきか?
とりあえず過去のデータを参考にするしかない。
ところが日本での円建て上場は今年の2月からだから長期の過去データがない。
 
そこで米国でドル建てでできているiSahresのMSCI-Emerging ETFの価格推移を見てみよう(クリックでそのサイトに飛ぶ)。2003年からの価格が見られる。このサイトでS&P500の価格推移も重ねて見ることができる。比べるとこの期間のMSCI-EのリターンはS&P500よりかなり高い。
 
しかしこれだとドル建てだから、ドル円の為替相場で円建てにしてリスクとリターンを計算してみた。
年率換算標準偏差(1シグマベースのリスク):30.5%
年率投資リターン:11.25%
 
繰り返すけど、円建ての投資リターンが年率で11.25%ですからね。円高による為替損なんか屁でもない。
日本のおじいちゃん、おばあちゃんらも、グロソブなんかじゃなくて、こういうもの買って持っていたら、老後の資産もたんまり増えただろうに。
まことに世の中は目の前にある宝の山に気がつかない人ばかり。
 
ただしリターンも高いが、リスクも高いね。1シグマベースのリスクとは、1年間の期間で68%の確率で相場は上下30.5%の範囲に収まる、逆に言うとそのレンジから飛び出す確率が32%あるということ。
 
まあ、まだ2009年の世界不況から日が浅いから、新興国バブルの本番はまだこれからだと直感的には思う。私はこのMSCI-Eでしばらくチキンゲームにつきあってみようと思う。
 
投資は皆様の自己責任でね!
 
追記その2:
ごんぞうさんから、MSCI-Emergingとそれを構成する原資産(各国のインデックスファンド)の価値の間に乖離が発生していることが指摘されました。
サイトを検索してみたら、世の中には株式おたくみたいな方々が沢山いて、その乖離をグラフかしている便利なサイトを発見しました。
 
 
これで見ると、MSCI-Emergingの乖離プレミアムは0%~6%程度、一時10%程度まで広がった形になっています(直近は4%程度)。もしかしたらプレミアム方向への乖離の広がり自体が、一種の「ブーム指標」になるかもしれません。つまり、乖離が広がり過ぎたら、それは人気が過熱していることだから売っちゃえということです。
ふ~ん、勉強になりますねえ。
ちなみに海外ETFは私はS&P500物で保有しています。
 
 
 
 

本日(10月17日)の日経新聞日曜版が金(ゴールド)の価格高騰を特集している。
1オンス=1300ドルを超えた今の金価格の高騰は、既にバブル局面に入っているように思える。
以下のドル建て価格、ならびに円建て価格のグラフをご参照。
 
そもそも金は株や債券、あるいは他の実物資産のようにインカム(配当、利息、賃料など)を生まない。インカムを生む資産であれば、将来のインカム収益率の増加が予想されるような場合には、価格が高騰し、それが合理的な期待である場合もある。 
 
これは企業の将来の利益率の予想が上方修正されると株価の上昇が起こるのが典型的だ。もちろん、予想は予想に過ぎないから、過剰期待で株価が過大評価されることもブームの時には毎度のことだが。
 
しかし貨幣と同様にインカムを生まない金には長期的にはインフレ率に従った上昇しか見込めない。ドル建ての金価格は米国のインフレ率に従った上昇率が長期的には見込まれる。ただ今10月時点で 1オンス=1371ドルとなった金価格は、1973年(ブレトンウッズ体制終焉後の変動相場制元年)を起点に計算すると、年率7.2%(複利ベース)である。
 
しかし同様に1973年を起点にした米国の消費者物価上昇率は年率3.75%に過ぎない。従って、過去2~3年の金貨価格高騰は、将来米国のインフレ率が趨勢的に高騰するという予想を織り込んでいるのだと考えることによってしか合理化できない。
 
一方、足元の米国のCPIは前年比0.8%でFRBはインフレよりもデフレを心配している。将来のインフレ懸念が台頭しているならば、10年物米国債の利回りも高騰する(価格が下落する)はずであるが、利回りは逆に低下して2.5%前後と史上最低利回りに近い。
 
「ドル相場の一段の下落予想が金買いに拍車をかけている」?
でも、ドル相場の下落より金価格の高騰の方がずっと大きい。そのため円建てでも金は高騰している。
 
「不況対策のマネージャブジャブ金融緩和で生じたカネりが金買いに向かっている」?
いつもそうだけど、カネ余りで投資家が非合理的な価格水準まで資産を買い上げるのは、典型的なバブル局面であり、その後に崩落が待っている。
 
金市場は米国の国債市場の規模などに比べるとはるかに小さい。ゴールドETFのブームなどでちょっと大きな投資資金が流れ込むと、ばぶってしまう。これは2008年夏に崩壊した国際商品市況と同じだ。
 
ただ投資家心理に沿って考えると、「目先はデフレリスクかもしれないが、将来は莫大な財政赤字の膨張でインフレリスクに転換するかもしれない。通貨はドルもユーロも円も信用できない」という気持ちに駆られている方には、金はそうした将来不安に見合った投資対象に見えるのかもしれない。
 
ゴールドマンサックスが金価格の予想を1オンス=1600台に引き上げたそうだ。毎度ながら煽るのが上手な連中だね。
 
私はタンスの引き出しには遥か昔に買ったミニゴールド板(100グラム)が眠っている。さて私のミニゴールドくん、長い冬眠から覚めてもらおうか。 たった100グラムしかないから1発売りしかできない。
さてどういうタイミングで売りましょうかね・・・・?
 
追記:やはりこういうアジテーター(扇動家)が出てきますね。
10月18日 Yahoo.Financeの記事
 
The Federal Reserve is clearly not worried about inflation. Chairman Ben Bernanke said as much
on Friday in a speech meant to lay out his argument for another round of quantitative easing. 
Problem is, inflation is a problem and Bernanke’s policies will lead to hyper-inflation
says, Peter Schiff, President of Euro Pacific Capital and noted central bank critic.
An inflation hawk, Schiff discussed his investment strategy with Aaron and Henry in this clip.
Gold:  With gold prices above $1300 per ounce, skeptics question whether this is yet another
asset class bubble about to burst.  Schiff disagrees, as you might expect. He believes the U.S.
dollar will continue its downward trajectory – in turn, adding to the value of gold
“I think we’re still relatively early in the game," he says. "It’s not rock bottom prices,
but prices are not high for the metals, especially given what central banks are going to do,” i.e. more quantitative easing.
Schiff not only recommends buying the psychical metal, his portfolio is heavily weighted with gold mining stocks. “Gold mining stocks are bargains right now,” he contends.  “Not a single gold
stock I’ve owned has split.  If this was a real mania, you know how many times these stocks would be splitting?”
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毎度の日経ビジネスオンラインに以下の論考が掲載されました。
 
 
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追記
あらっ、今回の論考はヒット件数もコメント数も不発じゃった・・・。(^_^;)
 
 
 
 
 

私はカメに関して、なぜか特別の思い入れがあります。
前ヒレを鮫に食われて失った状態で保護されたウミガメ、悠ちゃんへの義肢基金です。
賛同される方はどうぞ。
 
 
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