今日の日銀政策決定会合に関しての報道、5兆円程度の基金を設けて国債や他の民間金融資産も買うという「一段の量的緩和」について
コールレートを0.1%から0.0%まで下げるというのは、ほんとんど意味がない。以前デフレシリーズで語った通り、既に金利水準の変更が効果を持たないデフレ均衡・ゼロ金利ゾーンに入っているからだ。そうでなくても0.1%の変化に意味のある効果があるはずもない。
意味があるのは国債から他の民間金融資産まで対象に買い上げる基金をつくって、金融資産買い・マネー供給をする点。この点で5兆円と書いている報道と35兆円と書いている報道がある。どちらが正しいか? 日銀の発表文書は以下の通りとなっている。
「基金の規模
① 基金の規模は、買入資産(5兆円程度)と、固定金利方式・共通担保資金供給オペレーション(30兆円程度)を合わせ、35兆円程度とすることを軸に検討する。
② 買入資産については、買入れの開始から1年後を目途に、長期国債および国庫短期証券は合計3.5兆円程度、CP、ABCPおよび社債は合計1兆円程度、総計の残高が5兆円程度となるよう買入れを進めることを軸に検討する。」
① 基金の規模は、買入資産(5兆円程度)と、固定金利方式・共通担保資金供給オペレーション(30兆円程度)を合わせ、35兆円程度とすることを軸に検討する。
② 買入資産については、買入れの開始から1年後を目途に、長期国債および国庫短期証券は合計3.5兆円程度、CP、ABCPおよび社債は合計1兆円程度、総計の残高が5兆円程度となるよう買入れを進めることを軸に検討する。」
従って、買い入れ資産規模は5兆円と受け止めるのが正しいようだ。
また次のようにも書いている。
「買入対照資産等
資産買入れの対象としては、長期国債、国庫短期証券、コマーシャル・ぺ-パー(CP)、資産担保コマーシャル・ペーパー(ABCP)、社債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)について検討する。
資産買入れ以外の資金供給の方法としては、固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションを行う。」
資産買入れ以外の資金供給の方法としては、固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションを行う。」
5兆円という規模は中途半端、いや、小さすぎてインパクトに欠ける。
そのせいか、株式は小反発したが、ドル円相場はわずかにしか反応していない。
どうせなら「最大50兆円まで」と言えば、ぶっとんだに違いない。
ただし、ETF, REITまで対象にしたのは評価できる。ただし問題は実際にどの程度買うかだ。
ついでに「国債だけ買うとインフレになって金利が上がった時に、国債価格が下落して損失するから、
インフレヘッジのために株とかREITもたんまり買うよ」とコメントを付せば、国債ばかり買っていた投資家や金融機関はたまげて、国債から実物資産へのシフトを進めるはずだ。
資産デフレから緩やかながら資産インフレに転じれば、プラスの資産効果(消費の増加)も出て、実体経済にも好影響が期待できると思う。
市場参加者は11月2-3日の米国FOMCでどのような量的緩和策が出るかどうかに関心がいっている。
FOMCで量的に大胆なものが出れば、今回の日銀の対策効果は、ドル円相場については打ち消されて円高ドル安に進むだろうと考えている連中がまだ多いということだろう。
さて、どうなるかな。
追記:
11月2-3日のFOMCで量的緩和追加策が出るのは、これまでのFRBの言動から見て、ほぼ間違いない感じ。問題はその規模と内容でしょう。 発表後、ど~んと一段の円高となるかどうか? それは対応するポジションの積み上がり具合による。
シカコIMMの9月28日時点ポジションはドル売り・円買い持ち高が、9月15日の介入で半減した後、再び少し円買い増加、しかし介入前の6割程度にとどまっている。
一方、ユーロでのドル売りが増加している。円では介入リスクがあるが、ユーロではないから、短期的にドル売りするならユーロの方が分が良い、と考えた結果だろう。