たけなかまさはるブログ

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2011年09月

岡崎久彦氏は、ご存じの方も多いだろう。外務省出身の保守派の論客だ。私も、講演、会合で幾度もお話しをうかがったことがある。 ブッシュのイラク戦争を積極支持していた点はいただけないが、それ以外では概ね同意できる。
 
著書「戦略的思考とはなにか」はずいぶん昔に読んだが、大いに読む価値がある。
ただし根っからの左派の方は、急性アレルギー反応を起こすリスクがあるので、気をつけて頂きたい。
 
以下の論考で、鳩山政権、菅政権をふたつまとめて斬り捨てている。
 
「日本という国を素人の生体実験に供したような鳩山、菅時代がやっと終わったという安堵の声」
「反米、親アジアなどという、最も幼稚な戦後リベラル的発想を試みて、その非現実性について教訓を学んだということである」
実に痛快な批判であるが、問題は民主党議員らが本当に教訓を学んでいるのだろうか
マニフェストにこだわる勢力がまだ約半数もいるようでは、野田政権は民主党最後の政権になるぞ、と思う。
 
痛烈な個所を以下に引用しておこう。
 
「外交面では、鳩山由紀夫政権ができるとすぐに、東アジア共同体の構想を打ち出したが、その当の目的である中国から全く相手にされないまま、話は立ち消えになっている。
 
 もともと東アジア共同体は、中国が、北京のお膝元にASEAN(東南アジア諸国連合)諸国、日本、韓国の元首を招き、会議を牛耳ろうとしたのを、オーストラリア、インドなどを巻き込んで、しかも第1回は中国国外で行うことで換骨奪胎したものである。それを日本が言いだしても中国が乗って来るはずがない。おそらく鳩山前首相はその経緯さえ知らなかったのであろう。」
 
「反米、親アジアなどという、最も幼稚な戦後リベラル的発想を試みて、その非現実性について教訓を学んだということである。」
 
「民主党代表選当日の晩の宴会でも帰りのタクシーでも、聞かれたのは「ホッとした。良かったですね」という声ばかりだった。先のことは誰も分からなくても、日本という国を素人の生体実験に供したような鳩山、菅時代がやっと終わったという安堵(あんど)の声である。」
 
でも、本当に安堵できるのだろうか・・・できることなら私も安堵と僅かばかりの期待を野田政権にかけたい。 しかし、まるで自民党派閥力学時代にもどったような内閣の布陣、どじょうでもうなぎでも、なんでも良いから腰据えて仕事して頂だい・・・。

当ブログをご覧の方はご存じの通り、私は2009年夏に米国経済は底を打ったと判断してから慎重ながらも楽観的見方を維持しているが、世の中では次々と恐ろしい未来予想を語ってくれる論者に尽きることはないので、楽観論を持続するのは言葉とは反対に楽じゃない。
 
例えば、8月30日付けFinancial Timesでは著名なエコノミスト(コラムニスト?)、マーチン・ウルフ氏が、次のような見通しを語ってくれている。
Struggling with a great contraction
 
Many ask whether high-income countries are at risk of a “double dip” recession.
My answer is: no, because the first one did not end. The question is, rather, how much
deeper and longer this recession or “contraction” might become.
 
なんとも、ありがたいご忠告だ・・・。
2003年の時もそうだった。3月まで「日本の銀行危機は終わっていない。金融危機が必ず起こる」と繰り返し危機の「予言」を聞かされた。ところが、春過ぎから株は上がり始め、私の保有株の評価損は評価益にだんだん転じたのだが、恐怖ストーリーが耳にたこになっていたので、新日鉄などその後棒上げ状態になる株を早めに売って利益を確定してしまうということになった。
まことに価格の振幅が激しい株式というものは難しい。
 
やはり、同じリスクでもインカムゲインを主にポートフォリオを組む方が、長期投資家には向いているのかもしれない。

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