たけなかまさはるブログ

Yahooブログから2019年8月に引っ越しました。

2013年09月

2020年東京オリンピックに向けて、東京を中心とした「ミニバブルへGo!」の雰囲気が急速に高まっている。
本日の日経新聞Web版に掲載された長嶋修さんという不動産コンサルタントの大局的な見通しについて、私もほぼ同じ判断だ。おそらく不動産業界の関係者も似たりよったりの予想イメージだろうか。
 
ただし問題は、そうした予想イメージをベースにどのような投資ポートフォリオを保有するかだ。投資の成否はその具体的な判断にかかっているので、引用しながら、私のコメントを付しておこう。(以下青字が引用文、黒字が私のコメント)
 
「私は日ごろ、市場動向予測については慎重なのだが、今後、少なくともオリンピック開催まで、湾岸や東京都心エリアの地価が上昇するのは既定路線といっていいだろう。 08年のリーマン・ショック、そして11年の震災の影響で長らく低迷していた不動産市況は、昨年後半から徐々に改善し、底打ちの兆しが見られていた。そこに政権交代のアナウンス、アベノミクスによるインフレ期待が加わり、完全に底を脱したといえる。」
 
そうそう、不動産業界関係者はほとんどみなそう感じている。これから起こることは「上がる」という予想が自己実現するハッピー局面でしょうね。
 
「海外勢にも日本の不動産は注目の的。現在は、日本はもちろん、世界的に「超」がつくほどの金融緩和状態にあること。さらには株式市場同様、リーマン・ショック後に他国が持ち直すなか、低迷していた日本の不動産は相対的に割安感があると見られていることなどが挙げられる。」
 
2005年~07年に内外の不動産ファンドが東京を中心に不動産投資に殺到したのも、当時の相対的な割安感(すぐに割高に転じてしまったが)と、日本の超低金利の結果、金融レバレッジによる投資リターンの引き上げが容易だったことが働いていた。
 
「ではいったい、どのくらい価格が上昇するのか。東京都心部や湾岸地区以外の他の地域はどうなるのか。具体的にどのくらい上がるのかまでは私も見通せないし、誰にもわからない。
なかには、これから東京湾岸地区のマンション価格が2割上がる、2倍まで上がるとの予測もあるようだが、さすがにそこまでいくとは考えていない。2割の上昇ということは、5000万円のマンションが6000万円になるということ。あくまで感覚の問題だが、これは上がりすぎだと思う。1割程度の上昇はありそうだと思うが。」
 
1割の上昇というのはかなり控えめな予想だと思うが、オリンピックまでに2割~3程度の上昇はありそうだと私も思う。 ただしここでいう上昇率というのは、築年数を含めた同種物件の上昇率であることに注意しておこう。
 
例えば新築の場合、価格の2割前後は新築プレミアムであり、一度誰かが入居すれば「中古」となり、価格は2割下落する。つまり「東京のマンション価格は上がる」と予想して、新築を買った場合、予想通りに新築価格が2割上がっても、中古物件になった自分のマンションは元々の買値と同じ価格でしか売れないということだ。
 
さらに経年、老朽化による価値の減耗を考える必要がある。東京都区部のマンションの老朽化による平均的な価値の減耗は私が東日本不動産流通機構(レインズタワー)(以下)のデータで計算する限り、年率2~3%程度だ。
 
仮に2.5%とすると、購入から5年経過したマンションは市況水準が同じでも、老朽化で12%は買値から下落する。 つまり中古で買って、5年経過し、市況が2割上昇しても、実際に売れる価格は8%の上昇
(=20%-12%)ということになる。
もっとも長期のマンション投資は、インカムリターンをベースに考えるものである。仮に年率のインカム・リターン6%にキャピタルゲイン8%が加われば、投資結果としては上出来だろう。この場合、8%のキャピタルゲインは年率にすると約1.6%なので、年率総合リターンは7.8%になったことになる。
 
というわけで、繰り返し強調しているように「マンション投資で成功したければ中古で買え」が鉄則だ。新築で買うのはカモネギ顧客である。
 
「人間のこうした感覚は時間の経過によって変化していく。実際にオリンピックが近づき世の中の雰囲気が変わり、現在とは異なるある種の熱狂に入れば、いくらでも価格上昇の予知はできてしまう。経済成長や所得の上昇を伴えば健全といえるが、そうでない場合にはその後下落する。そしてその下落分が、後になってバブルだとわかるのだ。」
 
2007年までのミニバブルが2009年にかけて崩壊したように、今回もミニバブルが起こればその後に反動の「崩壊局面」が起こるだろう。それまでの上昇予想が自己否定に追い込まれるアンハッピー局面だ。
 
「バブルが起こり、その反動も起こる」と業界関係者が予想しているなら、だれもバブル価格で買いたいとは思わないから、バブルと崩壊も起こらないのではないか?」そう考える方もいるだろう。これは一種の合理的期待形成論だな。
 
ところが、現実にはこの種の合理的期待形成論はワークしない。プロの業者は無知な素人を巻き込んでチキンゲームに走るからだ。それがバブルに至る道だと認識していても、皆が走る以上、業者も走らざるをえない。それがバブル・プロセスというものだ。(この点は弊著「なぜ人は市場に踊らされるのか?」日経新聞出版社2010年に詳しく書いたことなので、ご関心あるかたは弊著をお読み頂きたい)
 
「いずれにせよこれから住宅を購入する方は、35年の住宅ローンが終わるころには、日本の人口は3300万人以上減少、つまりカナダの全人口と同じくらいの人がいなくなっている、さらには65歳以上が全体の40%程度になる、ということを踏まえておく必要がある。」
 
そうそう、だからとりわけ日本の場合、バブル局面ではしっかりと売り抜いておかないと投資としては成功しないよ、ということ。
 
「今回の価格上昇局面では、その地点は東京都心や湾岸、その他大都市圏など一部に限られるだろう。 人口・世帯数が減少していく中で、国内の不動産すべてが上昇するなど土台無理な話。都市部でも駅から遠い、生活利便性に欠けるなどの難点がある場所は、難しいだろう。高度成長期に分譲された郊外ベッドタウンは、一部の例外を除いてその多くが長期的に衰退していく。」
 
泣いても騒いでも、今の少子高齢化のトレンドを受け入れる限り、これが避けられない運命だ。
 
「08年3月期決算は不動産市場のプチバブルの中で、どのマンションデベロッパーも過去最高決算を迎えていたが、このときには価格高騰や在庫余剰などから、バブル崩壊の兆しありとして警告してきた。その後多くのデベロッパーが破綻、そしてリーマン・ショックを迎えることになる。これからオリンピックが終わるまで、こうしたアップダウンを市場は再び経験することになりそうだ。」
 
さあ、みなさま、勝ち組・負け組を分かつ大波・小波が再びやってきそうです。
NHKドラマ「アマちゃん」の歌 「寄せては返す波のように 激しく」バブルと崩壊は繰り返しますねえ。
ワクワクしちゃうなあ(^。^)
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
 
 

The return of Japanese banks
日本の銀行の国際融資シェアの復活

今日の日経新聞にもちょこっと記事が出ていましたが、BISの最新レポートで日本の銀行の国際融資シェアが回復し、米国、ドイツを抜いて国別でトップになりました(2011年)。
まあ、大手欧州銀はヘロヘロだから、敵失という面もありますが・・・
...

銀行の皆さま方、昔持ち株会で買ったMUFGの株もまだ含み損のまま抱えておりますので、油断なく稼いでくださいね。

添付サイトのレポート、16ページです。


quote:“Japanese banks have recently become once again the biggest suppliers of cross-border
bank credit. The BIS consolidated banking statistics show that in 2011 Japanese banks replaced
German banks as the world’s largest cross-border lenders.

Japanese banks’ share in the consolidated international claims of all BIS reporting banks rose
from 8% in early 2007, prior to the start of the global financial crisis, to 13% at end-March 2013.
On a consolidated basis, US banks were the next largest cross-border lenders, with a market
share of about 12% at end-March 2013,followed by German banks at 11%.”

http://www.bis.org/publ/qtrpdf/r_qt1309.pdf
 
 
 

2020年のオリンピックが東京で開催されるニュースは、私も8日午前5時に起きて生放送で見た。会場で踊り上がり、抱き合って喜ぶ関係者方の姿を見て、思わず私も「やったね~!」と叫び、拍手した。
 
開催を喜ぶ一方で、東京オリンピックの開催の掲載効果で「景気回復が加速する」「株も不動産価格もオリンピックに向けて一段高になる」などの論調が横行し始めた。
 
この点については、クールな判断が必要だ。新興国のオリンピックで、経済効果が大きく誘発されるたのは事実だ。1964年の東京オリンピックも、当時の日本は戦後復興からの立ち上がり過程であり、一種の新興国だった。オリンピックに向けて首都高速や東海道新幹線が建設され、競技場の建築物もことごとく新規に建設され、東京中が建設ラッシュに沸いた。
 
しかしロンドンにしろアメリカの都市にしろ、成熟した先進国でのオリンピックは、多少の新設はあるものの、多くは既存の建造物を使用して行なわれる。 建設関係の景気誘発効果は極めて限られている。オリンピックの時には日本国内と海外からの外国人観光客が急増するが、それはその時一回限りの経済効果に過ぎない。
 
東京都は資本投資と消費支出の2項目で、オリンピックの需要増加とその経済波及効果を示している。試算は(特非)東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会とスポーツ振興局によるものだ。
 
それによると2013年~2020年までの期間の総額で、需要増加額は東京都9669億円、全国では12,239億円に過ぎない。さらにその波及効果(乗数効果)までを含めても3兆円に過ぎない。3兆円のGDP押し上げ効果は、日本の年間名目GDPが500兆円弱であることと比べれば、大した金額ではない。しかも3兆円という経済効果は7年間の累計である。
 
これを例えば2012年度政府予算による東日本大震災関連経費とそれによるGDP押し上げ効果と比べて見よう。2012年度では震災復興関連で当初予算と合計3冶にわたる補正予算が組まれ、その総額は18.1兆円だ。
 
その中には金融的な支援も含まれているので、純粋に需要を増加させる予算部分(一般に真水と呼ばれる)とその波及効果を含めたGDP押し上げ効果は、みずほ総研の計算によると総額で12兆円である。
そのうち第3次の補正予算による部分が6兆円であるから、東京都が公表している経済効果3兆円はその半分に過ぎないことになる。(以下 みずほリサーチ2012年2月)
 
にもかかわらず、過大評価、過大期待を煽るような言説が横行し始めている。例えば本日の日経新聞Web版は、3兆円ではセンセーションに欠けると思ったからだろう。以下のように記載している。
引用:「経済効果はさらに膨らむとの見方もある。大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは今後7年間に観光産業が倍増すると想定し、経済効果は約95兆円と分析する。安倍政権の国土強靱(きょうじん)化計画が進めば約55兆円の効果を見込めるため総額150兆円規模になるとする」
 
オリンピックで「日本の観光業が倍増する(観光業の付加価値が2倍になるとの意味だろう)」などという荒唐無稽な想定で膨らました証券会社のアナリストの数字を、日経新聞ともあろうものが、そのまま引用しているのは、嘆かわしいことだ。
 
また「東京オリンピックで日経平均は4万円に近づく」という「予想」も登場する始末だ(以下)。
 
建設会社なども、「2020年東京五輪で東京の地価も住宅も値が上がるから、マンション投資のチャンス」などと囃したて、割高の新築マンションを無知な個人投資家に売りつけようとするだろう。
 
おそらく近い将来に起こり得る事態は、2006年~07年に起こったような東京の不動産ミニバブルに準じたことだろうと思う。商業ビルやマンションなどの価格は割高な水準になる可能性が高い。今からは買いますのではなく、来るべきミニバブルで売り抜かないと投資の成功はあり得ないだろう。
 
私としては、2020年の東京オリンピック効果は、計算できる経済効果よりも、目に見えない社会心理的な効果の方に注目しておきたい。 
 
1990年代以降、経済低迷で「内向きになりがち」と言われていた日本が、東京都、政府、スポーツ選手、その他の関係者の総力を挙げて、IOCという国際組織の場で「東京招致」を掲げて、文字通り知力・気力を振り絞った全力のプレゼン、説得工作を展開して勝ちえた「東京五輪」だ。
 
「日本の主張は世界に通じる!」関係者はみなそう感じたに違いない。見ていた私達もそう感じた。
それこそ計算できる経済効果を遥かに優る価値ある社会心理的なインパクトを生みだすかもしれない。
 
東京都と安倍政権には、国民が強い気持ちを抱いている時にこそできるような改革、自由で開放的な競争を促進するための規制改革、東京都が国際都市として一段の飛躍を遂げるような開放的な規制改革を遂行して欲しい。そうした改革こそが、わずか3兆円の経済効果を遥かに上回る持続的な経済成長の源泉になるのだから。
 
追記:ロンドン・オリンピックについて次のようなレポートがある。後で読むために張り付けておきます。
以下も参考情報 ATカーニーの調査
 
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人

7月にこのブログでちょろっと書きましたが、まとまった論考にしてトムソン・ロイター社への寄稿にしました。本日掲載されました(以下)。
 
 
抜粋引用:「米国経済の中長期的な先行きについては楽観的な見通しを引き続き抱いているが、株式相場は長期的には実体経済の動向を反映しながらも、短期・中期では期待や不安先行で上にも下にも行き過ぎるのが常だ。8月までの株価上昇を受けた米国株の動向については、来年にかけてやや警戒的なスタンスで臨む方が良いと思う。
・・・・ 
注目すべきは、8月30日時点のS&P500の引け値(1632.97)が推計値(1455.61)を12%も上回っていることだ。
・・・・ 
来年の世界経済を展望すれば、中国をはじめとする新興諸国の成長鈍化あるいは失速がすぐに好転するとは予想し難く、米国企業利益の一段の改善を期待させる海外要因は乏しい。米国経済の国内要因のみでEPSの一段の上昇を期待するのはやや無理があるかもしれない。
・・・・ 
総合的に判断して、S&P500に示される米国株価の動向は、来年にかけて現行の水準を中心に上下動を伴いながら良くて横ばい、もしかすると8月2日の高値(1709.67)から10%程度(水準で1538)あるいはそれ以上の反落もあり得るだろう。現局面の投資スタンスとしては、前掲8月16日付のWSJ記事にある次の様なコメントと筆者は同意見だ。
 
「(現在の)投資に関する含意としては、株価の保有比率を増やすよりは次第に減らすことに関心を集中した方が良いかもしれない。あなたが株式を多少でも売った場合、売却資金を他の株式に自動的に再投資してはいけない」
 
もっとも、米国の実体経済が中長期な改善トレンドにあるという見通しを変える理由はなさそうなので、大きな反落場面がもしあればおそらく「買いのチャンス」だろう。」
*****
 
追記:2013年9月16日
Analysis - Fed's underlying message a bad signal for U.S. profit growth
追記:2013年9月30日 WSJ
Earnings Growth for S&P 500 Firms Has Come Close to Stalling
追記:2013年10月12日 WSJ
When Analysts Sober Up.
Between the government shutdown and the budgetary brouhaha, surely Wall Street analysts
have been racing to reduce their forecasts of companies’ earnings for the fourth quarter.
Yahoo finance news
 
By some measures, third quarter earnings season could reflect an unprecedented level of
pessimism. According to John Butters, senior earnings analyst at FactSet, nearly one-fifth of
companies in the S&P 500 (^GSPC) have pre-warned Wall Street that they won't meet
expectations.
As a result, Butters says in the attached video, the profit growth forecast for the benchmark
index has undergone a serious beat down since the start of the quarter, having been cut from 6.5% on July 1st to just 3.0% today.
 
 
イメージ 1
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人

アジア通貨危機(1997-98)に関わった方々には懐かしい「悪夢」が再び?

超低金利のドル建てで借りて、自国通貨に転換して国内(新興国)に投じる取引(ドル売りキャリートレード)でインドやインドネシアなど新興諸国企業の損失が拡大している。

昨日のWSJの記事
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324886704579049943887947328.html?mod=djemTMB_h
quote:"Companies in exposed parts of Asia are facing a debt-repayment crunch as plunging
local currencies mak...e it more costly to repay foreign loans, a situation that is exacerbating
stresses on the region's economies.

The situation in India is notable. Indian companies have a combined $100 billion of unhedged
foreign debt, according to data from Indian ratings firm Crisil, an affiliate of Standard & Poor's.
A nearly 18.5% fall in the rupee since May has increased the cost of repaying those debts in
local currency terms."

****
ただしアジア通貨危機と同じ展開になるとは必ずしも考えていない。

90年代のアセアン諸国は対ドルで固定的な相場(あるいは変動性を著しく抑制した管理フロート制)を維持しながら、外貨建ての対外借入れを含む内外資本移動の自由化を進め、かつ金融政策は独自と言う「国際金融のトリレンマ原理」に反する政策を推進してしまった。 危機はそのことのある意味では必然的な報いだった。

今回の局面では相場変動は90年代に比べるとより高い変動性が許容されており、金利格差が大きいからと言っても、為替リスクのあるドル売りキャリー残高はベラボーには積み上がっていないはずと推測しているのだが・・・・それとも、歴史に学ばない方々や、記憶力の弱い方々ってそんなに多いだろうか、かもね・・・・・(^_^;)
 
ロイター社サイトに掲載された関連弊論考は以下の通り。
 
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人


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