たけなかまさはるブログ

Yahooブログから2019年8月に引っ越しました。

2014年02月

中国の専門家から、各種メディアまで、さんざん書いていることだから新味ないけど、記録のために書いておこう。
 
まず、三菱東京UFJ銀行(中国)有限公司の「経済週報」から
 
引用:「2013年の金融機関の分野別貸出統計レポート」では、不動産向け貸出が貸出全体の3割を占めており、同割合は前年比3ポイント近く上昇したことが明らかになった。詳細は以下の通り。

主要金融機関、小規模農村金融機関及び外資銀行における不動産向け貸出は、残高ベースで前年比
+19.1%の14兆6,100億元、貸出全体の伸び率(+14.1%)を5ポイント上回った。新規貸出ベースでは2兆3,400億元と前年対比9,987億元の大幅増と、新規貸出全体の28.1%を占めており、同割合は2012年末より10.7ポイント高かった。」
 
「内訳をみると、①土地開発向け貸出残高は前年比+9.8%の1兆700億元、②不動産デベロッパー向け貸出残高は同+16.3%の3兆5,200億元(①+②=不動産開発向け貸出残高)、③個人住宅ローン残高は同+21%の9兆8,000億元。2013年の新規貸出額は1兆7,000億元と前年同期より7,389億元の増加となった。」
 
これを見る限り、中央政府の不動産投資抑制の号令は、ほとんど効いていないと言って良いようだね。
地方政府にしてみれば、歳入の不動産収入への依存が高く、これを止めろといっても止められない、そう言う状態が続いている。 
 
「バブルにソフト・ランディングなし」と言っておこうか。問題はいつ、どういう形でバブル崩壊が起こるかだけだ。
 
本日(2月25日)の日経新聞の報道も、なかなか不気味だ(^_^;)
引用:「 【上海=土居倫之】中国で24日、不動産市況の先行き懸念が再燃した。準大手の「興業銀行」が不動産会社向け一部貸し出しを停止したことが伝わり、株式市場では「資金繰り悪化につながる」との見方から不動産株が急落した。最大手の万科企業の株価は前週末比6%超下落した。
 
興業銀が停止したのは一般的な無担保融資より経営破綻時の弁済順位が低い劣後債や劣後ローンなど。銀行にとっては、一般的な融資より高い利回りが得られる一方、リスクが高い特徴がある。株式と融資の中間的な位置付けなため、メザニン(中二階)融資とも呼ばれる。
興業銀は行内に「全ての不動産会社向けメザニン融資の手続きを全行で停止する」と通知した。同通知によると、「経済が下向きの状況下で、リスクが急激に高まっており、いったん問題が生じると、処置が難しくなる」としている。同行はこうした融資の残高を公表していない。
興業銀行は国内7番目の規模。四大国有銀行に比べれば弱い顧客基盤を補うため、不動産向け融資には積極的だった。その興業銀行の方針転換を受けて上海株式市場では24日、不動産株が急落した。」
雰囲気的には2007年春頃の米国、それまでサブプライムの証券化などを手掛けていた金融機関が損失を出して撤退を発表し始めた頃の状況に良く似ている。 バブル崩壊的な状況が誰の目にも明らかになったのは、同じ年の7月から8月、BNPパリバ系のヘッジファンドなどが行き詰ったり、証券化商品に莫大に投資していた欧州の地方銀行の巨額損失が報道された時だった。
私達の問題は、中国の不動産バブルが世界経済にどう波及し得るか。常識的に考えて、中国の不動産融資関連のリスク商品を保有している在海外の投資家、海外金融機関はほとんどいないだろうから、米国のケースのような波及経路はないはず。
そうするとむしろ日本の90年代前半の不動産バブル崩壊パターンに近いのではなかろうか。リスクは国内の銀行に集中していたケースだ。海外への金融取引を通じた波及はほとんどなかった。
中国でのバブル崩壊で人民元相場が下落するとは限らない。損失の穴埋めのために、合法、非合法の形で中国から海外に投資されている資産が売却されて本国回帰するかもしれないからだ(外貨売り・人民元買い)。  
日本でも90年代前半は95年の1ドル=80円に向けての円高が進行した時期だった。それまで外貨投資の主体だった日本の機関投資家が、不動産と株価の急落で財務体力を急減させ、海外投資をストップしたら、海外資産のリストラ的処分を進めた結果、経常収支の黒字分だけ需給的に円高に傾斜した結果だった。
だから世界経済への影響は、中国の経済成長失速→中国の輸入縮小という貿易面からの波及だろう。中国向け輸出比率の高い諸国にはマイナスだが、米国、日本、欧州の景気回復を頓挫させるほどのインパクトにはならないで済むかもしれない。
5年後に不動産が暴落した上海でマンションの底値拾いショッピングなんてできると楽しいのだが、信頼できるエージェントを確保できないから、個人投資家には無理そうだな。
(以下グラフは上記日経新聞記事に掲載されたものです)
 
追記(2月27日):
記事引用:「スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の推計によると、中国非金融企業の借り入れと債券合わせた総債務残高は昨年末に約12兆ドルとなり、国内総生産(GDP)の120%相当を超えた。
債務の増加ペースは前代未聞だ。
トムソン・ロイターが、上場している中・大規模の非金融企業945社を分析したところ、総債務残高は2008年12月の1兆8200億元(2984億ドル)から、13年9月には260%以上増えて4兆7400億元(7773億ドル)となった。
S&Pのリー氏によると、中国企業の問題を深刻化させているのは、2008年の世界金融危機に対応した4兆元の景気刺激策の使い道だ。「資金が容易に調達できたため、多くの企業は競争が激しくリターンの低いプロジェクトに積極投資した。そうした投資は不調で、利益にほとんど貢献していない」という。」
一方、 以下のような見方もある。一理あると思うが、私には国家権力が強力であるほど、その間違いも途方もなく大きくなるという気がする。
引用:「中央政府の手足である国有銀行が支配する比較的未発達な金融システムは実際、市場主導型で複雑な民間金融機関のネットワークよりも安定させやすい。・・・・中央政府は、破綻した銀行や地方政府の救済を引き受けるには十分過ぎるほど頑強な財政を有する」
追記(2月28日):引用「「安全」と「高利回り」は二律背反のはずであり、この歪んだ「元本保証」慣行はやっかいな問題を生んでいる。理財商品の支払事故は、いまは一部の地方や業種の現象に止まっているが、今後増大していくことは避けられない。それに、2件の事故事案は、いずれも債務者企業が民営企業だ。政府系でもない企業の債務不履行までいちいち銀行や政府が尻拭いしていたら、損失負担が大きく積み上がってしまう。」
 
 
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あまり他人様の批判をする気はない。そんなことしてたらきりがないのでね。
しかし「これはひどい」と思ったので、ちょっとだけ書いておこうか。
 
経済ジャーナリスト、萩原博子と言う方のインタビュー記事「まだデフレなのに、なぜ投資に手を出すのか?」
 
生活支出を合理的に見直して、無駄をなくし、効率化しましょうという点では異論はない。
しかし以下のコメントは自らの経済・金融・投資音痴を露呈しているだけだろう。
 
引用:「(インタビューアの質問)貯金するばかりで運用しなければ、資産はあまり増えません。足もとではアベノミクスによるインフレ期待で、株式や不動産が値上がりしていますが、投資はしなくてもいいのでしょうか」
前回も言いましたが、まだデフレは続いており、インフレになる兆しは見えません。だから、インフレに強いと言われる株式や不動産に投資する必要もないのです」
 
まだデフレは続いているという認識は何を根拠に言っているのだろうか。消費者物価指数は前年比でプラス1%台、企業物価指数は前年比でプラス2%台である。
「今は一時デフレではないが、またデフレ戻る」というのなら、その予測が当たるかどうかはともかく、可能性としては成り立つ予想であるが、「まだデフレが続いている」というのはシュール過ぎる認識だ。
 
引用:「日銀がデフレ脱却宣言をし、世の中の景気が本格的に過熱してきて、「現金を減らさないとまずい」と思った頃に、初めて(家計は)インフレ対策をやればいい」
 
本気で・・・いや正気で言っているのだろうか。誰の目にもデフレの再来の可能性がなくなり、景気が本格的に過熱した頃には、株価も住宅も高騰し、そんな時に現金から実物資産へのシフトをしたら高値つかみするをだけだぞ。 
 
そういう局面では私はデフレ時に買ったマンションも株も売り抜くぞ。ああ、そうか、高値圏で買ってくれるこうしたカモネギ層がいるから、売り抜けることもできるんだ。
 
引用:「どうしてもと言うなら、自分で判断して個別の株式を買う。わけのわからないファンドマネジャーにお金を預けて運用してもらう投資信託は、非常に不透明です。特に長期投資を謳っている投信には、疑問があります。短期で結果を求められるファンドマネジャーが、まともに長期投資なんて考えられるでしょうか」
この点は同意できるよ。私も著作で強調している点だからね。
 
引用:「実は私、こう言いながらも個人的には株式投資をかなりやっているんです(笑)。でも、他人には一切勧めない。自分も大損して、そのリスクをよくわかっているから。投資用マンションを買ったこともあるし、REIT(上場不動産投信)も持っているし……。投資については、人に言う前にやってみる。実際にやってみないと、どうなのかは言えないじゃないですか。・・・・自分で実際にやってみて、「儲かる理論がない」ということがわかったので、人には絶対に勧めない。むしろ、やめなさいとアドバイスしています。」
 
マンション、どういう買い方をしたのか語っていないが、景気の局面も考慮せずに新築ワンルームマンションなどを買ったのかもしれない。それは多少でも経験を積んだ投資家が絶対にやってはいけないと言っていることだ。儲からないのは、ご自身があまりにも投資について無知、勉強していないからだろう。
自分の投資音痴ぶりを一般化しているだけだ。
 
まあ、「勉強する意思がない(あるいはできない)方々の生活防衛術」としては、こういうスタイルしかないのだろう。つまり節約、節約でひたすらキャッシュを蓄えるという手法だね。 そしていつの日か誰の目にも明らかにインフレになった時に慌てて、住宅や株を買い出すのだろう。
 
そうした方々がいるから将来高値圏で売り抜けるチャンスもあるということだ。
批判で始めたが、お礼を言うべきだと最後に考えが変わった。<(_ _)>
 
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日本経済新聞Web版に田村正之編集委員の記事が掲載され、私もコメント引用で登場しているので、コメントを付してご紹介しておこう。青字が引用文、黒字が私のコメント。
 
「6年後に再び1ドル=80円台という警鐘」田村正之 2013年2月17日
 
引用:「貿易赤字の定着で「長期では円安」という見方があたかも決定事項のように語られがちだ。その中で大和総研は今月、6年後以降は再び80円台に戻るという中期見通しを出した。エコノミストの間で「現在の為替はすでに実質ではプラザ合意前と同じ円安で、やがて円高方向に修正されそう」という見方があることと整合的だ。・・・・大和総研では今後10年の予測期間全体でも日本のインフレ率は米国をほぼ一貫して下回り、円高圧力が働き続けるとみる。」
 
米国のインフレ率>日本のインフレ率が長期で継続するという想定に立つ限り、「長期では円高回帰」以外の予想はあり得ない。 ただし私としては、米国インフレ率=日本インフレ率となるシナリオも排除していない。双方ともCPIで1~2%というのは、現状すでにそうなっているが、短期ではなく長期に持続しても不思議ではない。 
 
ただし米国インフレ率<日本インフレ率が趨勢的に実現する可能性は、現時点では予想の埒外(らちがい)、根拠の乏しいシナリオだと思う。 超円安シナリオ(1ドル=120円以上)は短期・中期のタイムスパンでは可能性が乏しいが、日本の政府債務問題に赤信号が灯り、日本国債にリスクウレミアムがのって暴落するようなリスクシナリオが将来起こってしまった時に現実的な可能性となると思う。現時点でそのシナリオの蓋然性が最も高いと予想するのは、日本衰亡論者の煽りでしょ。
 
国際通貨研究所の調査部長を経て現在は龍谷大学教授の竹中正治氏は「為替は期間(短期か長期か、注:竹中)によって決定要因が変わる。個人は自分がどんなタイムスパンで外貨建て投資をするのか明確にし、それに合わせた戦略をたてたい」と話す。」
 
毎度弊著作で強調していることですね。
 
「一方であたかも決定事項のように語られているのが、「貿易収支が赤字に転じたのだから長期的に円安になるのは当然」という考え方だ。」
 
「小林氏は「もちろん貿易収支は為替に影響を与えるが、それは短中期の要因。長期ではインフレ率格差というのがスタンダード」と話す。竹中教授も「貿易・経常収支は様々な為替要因の一つにすぎないし、それだけを過大視するのは疑問。実際、米国の経常赤字は1990年から2000年代前半までほぼ一貫して拡大を続けたが、米ドルの実効相場はこの間、逆にほぼ一貫して上昇を続けていた」と指摘する。」
 
ドルが円高・ドル安のトレンドを1970年代以降長期にわたって辿ってきたのは、長期にわたって米国が貿易、経常収支赤字だからだと思っている人が多いが、2重の意味で勘違いだ。 
 
第1に、ドル円相場=ドル相場という見方が間違い。 上記の引用コメントの通り、90年代から2000年代初頭にかけて長期にわたってドルの実効相場は名目でも実質でも上昇した。
第2に、その間、米国の経常収支は実額でも、GDP比率でも赤字拡大を続けた。経常収支赤字の調整(縮小)局面にシフトしたのはようやく2007年以降だ。今もそのトレンドが続いている。
 
「インフレ率格差を背景にした考え方で、購買力平価と少し違う形で為替の水準を示すのが「実質実効レート」(グラフC)だ。「その国の貿易競争力は名目レートではなく実質実効レートで見るのが一般的」(伊藤元重東大教授) 「実効レート」というのはドルだけでなく、ユーロや中国人民元など貿易のある通貨を加重平均し総合的に計算すること。」
「日本の実質実効レートは時期により円高、円安にかい離するが、長期的には中心ゾーンに回帰することを繰り返してきた。ちなみに実質実効レートが長期では中心に回帰するのは、大半の国の通貨でも同じだ。」
 
実質相場指数=名目相場/PPP
PPP=起点時点の名目相場×(自国の物価指数/外国の物価指数)
レートの表示建値:1外貨=**円
物価指数は起点時点を100として計算する
 
弊著で強調している通り、名目相場がPPPを中心に乖離と回帰を繰り返すということは、実質相場指数はその長期の平均値からの乖離と回帰を繰り返すということと同じである。
 
実質実効相場というのは、上記の計算による自国と各国の為替相場の加重平均値だ。加重平均のウエイトには通常、当該国の貿易に占める相手国のシェア(比率)が使用される。
 
ただし現在日銀や国際機関(OECDやIMF)が使用している実質実効相場指数は、消費者物価指数を使用している。この点で私はその有効性に疑問を抱いている。というのは相対的購買力平価原理は貿易財について成り立つと昔から考えられているからだ。
 
従って非貿易の国内財やサービスの比重が高い消費者物価指数で計算したPPPを名目相場の参照データ(乖離と回帰を繰り返す趨勢的な中心水準)とすることに難点がある。だから、現行の実質実効相場について、長期で平均回帰の現象が出るかどうかは???である。
 
もっとも貿易財物価指数や貿易財の比重が高い生産者物価指数、企業物価指数を計測・公表しているのはほとんど先進国のみで、多くの途上国ではデータの使用ができないので、消費者物価指数による実質実効相場が公表されているというのが実情だ。
 
なお関連して、消費者物価と貿易財価格の関係については、国際経済学では有名なバラッサ・サミュエルソン効果が知られている。以下参考まで。
 
「例えば実質実効レートについて「従来のような中心方向への回帰はおきにくいかも」(経済産業研究所の森川正之副所長)との指摘も出ている。「日本製品の競争力(交易条件)が落ちている中で、実質実効レートのトレンドが円安方向にシフトし始めている可能性がある」(森川氏)」
 
森川氏は、一国の交易条件=輸出物価/輸入物価と実質実効相場の相関関係を強調している。
以下論考参照
 
これを見ると交易条件と実質実効相場の乖離がリーマンショック後の急速な円高で起こっている。
そしてその乖離は2012年暮れ以降の円安で修正された(乖離幅がほぼ解消した)。
両者の乖離については、細川氏が述べている通り、「実質為替レートは交易条件(輸出価格/輸入価格)と密接な関係がある。貿易財のみを考慮した最も単純な二財モデルでは、実質為替レートは交易条件と定義上等しい(小宮・森川, 1995)」、この点がポイントだ。
 
つまり現行の消費者物価指数で計算された実質実効相場と交易条件の乖離とは、消費者物価の変化と貿易財物価(輸出物価、輸入物価)の変化の乖離だと言える。それが直近の円安で修正されたということになる。
 
また、実質実効相場(以下日経新聞の掲載図参照)で見て現在の円相場が1980年代前半並みの円安水準だからと言って、日本の輸出産業が当時と同じくらい円安メリットを享受できている(らくちんしている)というわけでは必ずしもない。 輸出産業(企業)にとって採算上問題となるのは、販売価格と仕入れ部品・原材料・エネルギーなどの相対価格(=交易条件)の変化である。
 
輸出販売価格が仕入れ原材料・エネルギー価格に対して相対的に低下すれば(=産業・企業レベルの交易条件の悪化)、実質実効相場が円安でも採算は苦しいし、逆ならば円高でも収益的に問題はない。その点、2000年代以降のトレンドは輸出価格の下落基調、原材料・エネルギー価格の上昇基調なので輸出産業(企業)は収益的に苦戦を強いられてきたと言える。 
 
この点で森川氏の上記論考の指摘、つまり実質実効相場で極端な円高ではない(2012年10月時点)から、輸出企業に為替相場の問題はそんなにないはずだというのは間違っているという指摘は妥当だと思う。
 
「「長期円安確定」とみて老後の資産の多くを外国債券や外貨建て投資信託にしている極端な人も見られるのが現状だ。」
F巻さんに煽られた方々かな?(^_^;)
 
追記:書き忘れたから書き添えておきます。2月の初めに述べたとおり、今の相場は短期では「もしかしたら100円割れもあるかな・・・?という円高リスク」です。CGOIMMの非商業筋の円売り持高も、ピーク時の半分程度に縮んで推移していますね。 以下参照
 
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今朝の日経新聞一面の記事を読んで、唖然とした。
農業の現場ではこんなボケまくりの漫才みたいなことが起こっているのか(-_-;)
 
引用:「農業生産法人、越後ファーム社長の近正宏光さん(42)は設立時を振り返る。2006年、新潟県阿賀町。「よぐわがんね。県に聞いてくれ」。農地取得を申し入れたところ、農業委の事務局でこう言われた。
県庁では「農政局に聞いてくれ」。農水省の出先である農政局では「それは農業委で」。業を煮やし、3者を集めて問い詰めると、県の担当がようやく「農業委がOKなら」。すると農業委の担当も「県がいいと言うなら」。準備開始から半年以上たっていた
。」
***
 
仮名ではなしに個人名も組織名も実名が記載されているので、記者君のでっちあげではないだろう。
「農業委員会」なるものが問題であることは、記事にも引用されている山下一仁氏や神門善久教授の著作を読んで知っていたが・・・・。

常識的には認可制度があれば権限の所在も明確なはずであるが、記事の描く状況は当事者意識が欠如した無能力になることで保護主義的な参入障壁を生みだすまるで陰謀のようだ。
 
1月のダボス会議で日本人首相としてOpening Conferenceで初めてKeynote Speakerをやった安倍首相は、「これから2年間で国家戦略特区(昨年12月に法案が成立した)を使って全ての『岩盤規制』に突破口を拓く」と明言し注目を浴びたそうだ。
 
首相官邸ホームページは「国家戦略特区特集ページ」なるものを設けている。安倍首相の力が入っていることが感じられる。
 
だったら農業分野でやって頂くことは明らかだ。 「農業参入自由」の実現することだろう。
戦略特区の設置は内閣総理大臣を議長として設置される戦略特区諮問会議で決定されるそうだから、内閣総理大臣が「本気」ならマジに機能するだろう。
 
「国家戦略」という名前がついている点で、民主党政権(鳩山内閣)がかかげた「国家戦略局(室)」を想い出したが、民主党政権のそれは全く機能しないまま終わった。民主党政権のガバナビィティの低さを示す象徴的存在となってしまった。 
国家戦略特区諮問会議は既に法律上の裏付けができている点が最大の違いか。
 
戦略特区諮問会議のスタートで左右双方の保護主義的な勢力との対決も本格化することになる。
左右の保護主義勢力から蛇蝎(だかつ)のごとく嫌われている竹中平蔵教授が、戦略特区諮問会議の民間議員として入るそうだ。 
既得権益を浸食する規制改革というものは、必ず誰か「嫌われ者」が働かないことには機能しないからね。
 
アベノミクスの第3の矢、成長戦略(とそのための規制改革)もいよいよ本番ということだろう。
面白くなってきた感じがする。
 
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「日本では雇用者数に占める非正規雇用者数の比率が上昇し3割を大きく越えるようになった」
実際、雇用者に占める非正規比率は、1990年には20%、2013年は36%です。
 
一般に非正規雇用者の方が正規雇用者に比較して給与所得はかなり低いから、「正規雇用者数の減少、非正規の増加は所得格差拡大の要因だな。 日本のミドルクラスの減少が進んでいる」というイメージをこの事実に基づいて抱いている方、多いですよね。
 
ところが今日の日経新聞「経済教室」神林龍准教授(専門、労働経済)の論考を読んで、そのイメージが間違っていることに気がつきました。
日本の正規雇用者数(正規職員・従業員)は数でも比率でも1990年以降安定していて、決して減少していないということです。
 
以下添付図は神林氏のコメントを確認するために厚生労働省データで私が作成したものです(単位:万人)。
全就業者数(含む自営業)に占める正規の比率は、1990年61%、2012年59.3%で安定しています。人数も3000万人台で安定しています。
 
では非正規雇用者増加の源泉は?
非正規の増加と並行して自営業者と家族従業員が減少が顕著です。
代表的な変化で言うと、要するに町の小売店主や家族従業員が減って、コンビニアやスーパーの店長や非正規従業員が増えたと言えばわかり易いでしょう。
 
まあ、町の小売店主や家族従業員とコンビニやスーパーの店長やパートと比べて所得や労働条件でどちらが良いか、という議論もできますが、正規雇用で形成されているサラリーマン形態の日本のミドルクラス層はけっこう安定している・・・・と認識を改めました。
 
ただし年齢層別にみると、正規雇用に就けない、あるいは就かない若者層がじんわり増えているのも事実。それはそれでまた問題ですがね。
 
世間的に流布するイメージに流されない認識って・・・・けっこう難しいものです。
 
追記:(2月7日)雇用者数(就業者数ではない)における年齢階層別の正規・非正規割合が気になったので、以下グラフにしました。データは以下の厚生労働省のデータ(表9)
 
これを見ると、雇用者数における非正規比率の上昇は90年代から2000年代初頭の時期に主に起こっており、2000年代後半からは横ばいになっている。
 
非正規比率の上昇幅では、25歳~34歳の層で非正規比率が90年頃の10%から2000年代の20%台半ばまで上昇しているのが年齢階層別で最も大きい。
 
ただし35歳~44歳も非正規比率は20%から20%後半まで上がっており、現在の水準では上記の若い層とほぼ同じ。45歳~54歳でも同じ傾向がみられる。
 
55歳を超えると非正規比率はぐんと高まる。そりゃそうだ。嘱託契約なんかが増えるからね。
 
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1、世界の金融市場のリスク度を測るIIMA-GMVI指数
私と国際通貨研究所で考案、公表しているIIMA-GMVI指数が本日の日経新聞に取り上げられております(^^)v
以下添付画像(新聞記事の図表)の上段の2つです。

記事引用
:「国際通貨研究所と龍谷大学の竹中正治教授が考案した世界市場ボラティリティー指数(GMVI)だ。22カ国の株式、債券、通貨について過去の動きの振れを集計。数値が高いほど、市場の不安心理が強い。...


指数はじわり上昇
経験則では、世界指数が1994年以降の平均である「3」を超えると要注意だ。3~4は平時からリスクオフに移る局面。4~5は地域的な危機の可能性が出てくる。5以上だと世界危機。過去20年ほどでは98年のLTCMショックと、2008年のリーマン・ショックの2度しかない。
1月末時点の指数は2.34。3は下回っているが、じりじりと上昇している。

指数を先進国と新興国にわけると、米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和の縮小観測が強まった昨年半ば以降、新興国の高止まりが続く。国際通貨研の佐久間浩司・経済調査部長は「新興国に向かった過剰な投資が緩和縮小で調整している」とみる。

「米経済が緩和縮小に耐えられるほど回復した」(佐久間氏)ととらえれば、先行きを過度に悲観する必要はないが、今後の指数がどう動くかは注目だ。」
***
オリジナルデータと図表は研究所の以下のホームページでご覧いただけます。
 
2、2月~3月の講演予定
普通、講演する時は主催者任せで自分では宣伝しないのですが、今回はちょっと予定をご紹介します。
 
(1)2月25日(株)SAIL(大井幸子社長)主催の講演会
タイトル:「アベリンピックス景気はまだ続く~円相場、株価、不動産動向を読み解く」
2月25日午後5時半から、新宿四谷
ご関心ございましたら、以下のサイトからご登録ください(有料5000円)。
 
(2)3月6日ワカバヤシFXでの講演
タイトル:「アベリンピックス景気はまだ続く~経済学で読み解く円相場、株価、不動産市況~」
有料
第1部竹中正治、第2部若林栄四氏・・・・昔の上司なんですが、若林さんと私では相場に対するアプローチが水と油以上に違う。 どうなっちゃうんだろう。大丈夫かしら~
 
(3)3月11日大阪経済調査会(大阪商工会議所)主催
詳細未掲載
***
 

1月28日付けのロイター社のコラムでも述べたが、世界の株式市場、為替相場の波乱局面入りを語るニュースが急に増えているので幾つか目についたものをテイクノートしておきます。
 
 
IMF warns over impact of global market turmoil   DJ Jan.31
quote : The International Monetary Fund on Friday warned emerging economies to shore up
their defenses amid challenging global turmoil that has sparked a broad-based sell-off in
financial markets.
An IMF spokesperson said they could not find a single trigger for the turmoil, but also appeared
to warn central banks generally to be cautious about tightening monetary conditions.
"Many emerging economies, along with other asset classes, have come under renewed market
pressure in recent days," the spokesperson said in an emailed statement.
"While it is difficult to pinpoint a single trigger for the sell-off, the turbulence underscores the
challenging situation that many countries face as a result of tighter external financing
conditions, slower growth, and softer commodity prices."
***
 
Signs of ‘Panic,’ in Three Charts   WSJ  Jan.31
Some $6.4 billion was pulled out of emerging-market equity funds, according to EPFR Global,
the largest outflow since August 2011 amid the euro crisis and the downgrade of the U.S. credit
rating. For bargain-hunting investors looking to buy near the bottom, they might want to wait
longer.
As the chart below shows, emerging-market equity funds would need to witness
another $15 billion in outflows over the next two to three weeks before his data
would trigger a “contrarian buy signal.”
 
Mr. Hartnett’s analysis is consistent with what Goldman SachsGS -1.04% reported earlier this
week. Over the past decade, there have been 19 times when the MSCI Emerging
Markets index dropped by at least 5%, according to Goldman analysts. The average
pullback was12% and lasted about 35 days. The recent emerging-markets turmoil has
lasted about a month, during which the index has fallen more than 7%.
 
Meanwhile, combined emerging-market debt and equity funds witnessed a combined $9.1 billion
in outflows, which Mr. Hartnett says rivals the outflows during May 2013 (the taper tantrum),
August 2011 (the debt-ceiling debacle) and Lehman’s bankruptcy (September 2008).
 
And finally, emerging-market debt and equity funds over the past three months have seen
outflows of about $42 billion, or about 4% of all assets under management.
***
 
IMFも昔(1990年代)に比べるとずいぶんと「気の利いた」タイミングで(まるで金融機関のストラテジストのようなタイミングで)警告メッセージを発信するようになりましたね(^_^;)  ただしこういう「当局メッセージ」というのは、効果が強すぎると相場の暴落を自己実現することにもなりかねない。 そういう難しさがあります。
 
新興諸国の株価の合成指数としては、私はいつも以下のMSCI-emerging指数に連動するETF(ドル建て)の価格動向を見ています。
 
とりあえず目先最低1か月ほどは波乱局面が続く可能性が高いと見ておきましょうか。どの程度の「調整」で終わるかはわかりませんが、1月のブログで書いた通り、ど~んと下がったところはドルも株も恐る恐る買ってみましょうかね。
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人


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