水素エネルギー、燃料電池でエネルギー革命が起きる・・・というテーマの本を読んだのはもう10年以上も昔だ。 当時は「でも水素自体はどうやって安く生産できるんだよ?」「燃料電池のコストが高すぎるけど安くなるの?」「どうやって安全に水素を運送するんだ?」などなど重要なピースが欠けたまま、バラ色の議論を語る本が出回っていた記憶がある。
その後、燃料電池自動車の実用化・普及もまだ遠い・・・ハイブリッド・カーの時代が当初思ったより長く続くという方向に見通しの修正が起こった。
ところがここに来て、いくつかの重要なブレイクスルーのニュースが目につく。記録のためにまとめておこう。
1、水素の媒体、運搬面でのブレイクスルー
週刊エコノミスト7月1日号 甕(もたい)秀樹氏
水素の安全・安価な運搬方法について千代田化工建設が画期的な技術を実用化した。
水素をSPERA水素という常温・常圧下で液体にする技術
「スペラ水素は水素と有機化合物のトルエンを反応させて生成する。活用の際は、スペラ水素を分解して水素を取り出す。水素取り出し後のトルエンは何度でも再利用できる上、ガソリンと同じ第4種第1石油類に分類されるため、ガソリンスタンドなど既存のインフラを活用でき、運用コストを抑えることができる。」
そうするとロシアのように電力コストの安い国で水素を製造し、大規模に日本に輸送することも可能になるという。
千代田化工の該当サイト
2、燃料電池の高価な白金触媒に代わるブレイクスルー
九州大学と名古屋大学の共同研究グループが、「燃料電池のアノードとして現在広く用いられている白金触媒の能力を大幅に上回る水素酵素(ヒドロゲナーゼ)「S-77」電極の開発に成功しました。
金属酵素ヒドロゲナーゼは、電極触媒としての高い能力が期待されていましたが、燃料電池への応用には酸素に対する不安定さが障害となっていました。小江教授らのグループは、阿蘇山で発見したヒドロゲナーゼ S-77 が酸素に対して安定なことを発見し、それを用いて開発したアノード触媒が白金電極の637倍の質量活性を示すなど非常に優れた性能をもつことを明らかにしました。」
触媒効果は白金の637倍!
3、自動車の改良
「トヨタ自動車はセダンタイプの燃料電池車の量産モデルを公開。日本では2014年度内(2015年3月末まで)に発売し、価格は700万円程度を予定している。燃料電池車固有の部品を除き、ハイブリッド車との部品共用でコスト削減につなげたという」
なんだか、こうやって揃うと、水素エネルギー革命の未来がどわっとやって来る!みたいな感じがします。ちょっと期待しながら見守りましょう。
千代化の株、買おうかな? えっ、そんなことは既に株価に織り込まれているはずだって?
そうですね。それが効率的市場仮説です(^_^;)
近著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法」(光文社)2013年5月20日
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