たけなかまさはるブログ

Yahooブログから2019年8月に引っ越しました。

2017年05月

毎度のロイターコラムです。
今回は消費者物価指数の回帰分析と推計予測をやってみました。

冒頭引用:「日本経済は4半世紀ぶりの人手不足となった。失業率は2.8%(4月)まで下がり、有効求人倍率は1.48倍(同)といずれも1990年代初頭までさかのぼる水準だ。

ここまで来ると賃金が上がり、消費の増加を伴ってインフレ率が上がっても良さそうだが、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年同月比0.3%(4月)にすぎず、低インフレから日本は抜け出せていない。
一方、米国でも2008―09年の大景気後退からの回復過程で低インフレが続いたものの、今や消費者物価上昇率は2%台に乗り、緩やかな金利引き上げに加え、非伝統的金融政策で膨張した米連邦準備理事会(FRB)のバランスシートの正常化が視野に入り始めた。
何が日本の低インフレ脱却を阻んでいるのか、またそれが円相場や株価に意味することを考えてみよう・・・」

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追記:伊藤隆敏先生の日本の物価に関する予想、かなり楽観的です(以下URL)。
恐縮ながら、私の見通しは、伊藤先生のとはかなり違うものになってしまいました。1~2年経ったらレビューしてみましょう。

引用:「それでも、伊藤教授はインフレ圧力の顕在化は近いとみる。教授の分析によれば、失業率と賃金・物価の関係を描いたフィリップス曲線は「日本ではL字型だ」と指摘。80年代から、1)インフレ率が下がっても失業率の上昇は限定的、2)物価が小幅なマイナス圏に停滞する中で失業率が上昇、3)失業率の低下が進んでも物価が上がらない、局面を経てきたが、今や賃金とインフレ率が上がっていく「L字の角に差し掛かりつつある」と言う。
  原油価格がこれ以上大幅に下がらないことと、為替相場が安定的に推移して極端な円高が避けられることを前提に、伊藤教授は「これからは物価が上がるだろうと楽観的に見通すこともできる。黒田総裁はたぶん、それを望んでいる。希望も含め、上がる可能性は高い」と読む。」


現代ビジネスに寄稿しました(本日5月13日掲載)
サイトのタイトルはややキャッチーな感じになっておりますが、その点は目を引いてなんぼの一般雑誌ですので、ご勘案ください。


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冒頭引用:「全く矛盾した2つの「不安」が今の日本を覆っている。
ひとつは少子高齢化で労働力が不足し、経済成長が停滞するという不安だ。もうひとつはAI(人工知能)やロボット化の普及で職が奪われ失業が増えるという不安である。もちろん、誰にでもわかるように、この2つの不安は論理的に矛盾している。にもかかわらず、こ広く同時に語られているのは奇妙なことだ。

しかし、どちらが現実には、より深刻かつ長期的な問題であるかといえば、間違いなく労働量の不足による経済成長の制約である。この点で日本経済は、AIやロボット化の普及を躊躇う余裕などなく、むしろ経済的により豊かなステージに上がるために必須の条件である・・・」

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本日5月13日の日経新聞記事で報道されていた件、仕組みはシンプルな感じです。

JCER公表サイト↓
 
判断の基礎となる景気動向指数の先行指数CIが、数か月連続して低下し、その下げ幅が大きいほど景気後退確率が急上昇するように作成されていると説明されています。そしてJCER景気後退確率が2か月連続で67%(一標準偏差の変動域)を超えると景気後退の「早期警戒シグナル」が点灯したと見なすようにルール化されています。
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そうやって計算された景気後退確率と、内閣府の研究所で事後的に判断される実際の景気後退の過去の推移を比べると、2つのずれが目につきます。ひとつは2012年に起こったミニ景気後退、この時JCER景気後退確率は67%の早期警戒域よりかなり低い値のままで信号は点灯しませんでした。
もうひとつは2014年4月の消費税率引き上げ後の落ち込みです。 JCER景気後退確率は早期警戒シグナルを点灯させていますが、内閣府は事後的にも景気後退とは判定していません。

この2つのずれは、おそらくJCERでこの指標の作成に関わった人達にとって悩ましいものだったと思います。

もちろん、内閣府の景気循環の判断が絶対正しいというわけでもないでしょうが、内閣府の判断は数か月以上遅れて、全ての経済データが改定値も含めて全部でそろってから事後的に行うものなので、リアルタイムに近い形でシグナルを出すJCERの景気後退確率よりも「最終判断」として尊重すべきでしょう。
 
私の意見としては、2012年は景気変動に遅効的な雇用動向やその水準の低さ、現物不動産価格の下落等々を勘案すると「ミニ景気後退」と考えられます。一方、2014年は先行CIの下落幅は2012年に匹敵しますが、雇用の改善が途切れなかったこと、その水準も12年時よりずっと高かったことなどを勘案すると景気後退と判断しなくて良いのではないかと思います。

以下掲載図は日経新聞記事から

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