毎度のロイター・コラムです。本日午後に掲載されました。

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米株式投資、高値恐怖症に打ち勝つヘッジ手法
冒頭引用:「歴史的な高値更新を続けていた米国株式が、長期金利の上昇(10年物米国債利回り2.85%、2月2日引け)を受けて反落し、神経質な展開となっている。

下落幅はダウで1月の高値から4.1%、S&P500で同じく3.8%にすぎないが、波乱なしの堅調推移が長く続いたので、ちょっと冷や水を浴びた感じなのだろう。本格的な調整・下落局面の始まりか、それとも一時的な小反落で押し目買いの好機か。そんな短期の予想は本当のところは誰にも分からない。
 
当たり外れのある短期の予想に依存した投資姿勢は不安定で長期的にも報われない。むしろ大局観に立ち、米国株と長期債についてポートフォリオ上の比率を見直す形でリスクヘッジを始める局面が到来したように思える。
現下の株価反落の原因とされる長期金利の上昇も、将来の米国株下落への効果的なヘッジ機会を提供してくれる。ドル円相場のリスクヘッジも含めて、この点を考えてみよう・・・」

末尾引用:「筆者のドル円相場に関する中期的なスタンスは、昨年9月のコラム「実質ドル円相場が示唆する円高回帰」(2017年9月12日付)から変わっていない。1973年以来のドル円相場を見ると、実質相場指数がすう勢的な平均値から大きく乖離するドル高(円安)の山は6回、ドル安(円高)の谷は5回あり、現在は6番目のドル高の波の最終局面が始まっていると判断している。

次の米国の景気後退期には再び1ドル90円、80円の水準の円高も自然な結果だろう。もっとも、前掲1月のコラムで書いた通り、米国の次の景気後退が始まるまでには、恐らく1年以上の間があるので、米国の10年物国債利回りの上昇余地もまだあり、一気に円高・ドル安になる可能性はまだ低いだろう。従って、先物予約やFXトレードなどで円高・ドル安へのヘッジができていない投資家にとっては、目先1年かそこらがドル売りヘッジをするラストチャンスになるかもしれない。

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 コラムには書かなかったけど、次の米国景気後退局面、GPIFは長期ドル債も保有しているはずだから(平均残存期間は知らないけど)ドルベースの株価の下落は、ここに書いた通り、ある程度はドル長期債券価格の上昇で相殺できるでしょうが、円高による為替損の発生がむしろ心配です。 

 先物の外貨売りでヘッジすれば、もちろん先物ディスカントの分(今は年率2%強)だけコストが生じ、リターンは下がるけど、持高が莫大なだけに、総計で30兆~40兆円もの評価損が出たら、また左派系野党が目を輝かせて「アベのせいだぁ!」と攻撃するでしょ。それをしのげるのか? 

 もっともGPIFが本気でドル売りヘッジ始めたら、10兆円単位の規模になるでしょうから、それだけで数円は円高に振れそう。ヘッジ率を上げるには時間をかけて、じわじわやるしかない。

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