たけなかまさはるブログ

Yahooブログから2019年8月に引っ越しました。

タグ:不動産

東証REIT指数と株価指数TOPIXとの相関関係は今まで幾度もやってきた。現物の不動産価格と株価指数の間にもある程度の相関関係があることは感じていたが、実際にデータで計測したことはなかった。

そこで中古のマンション価格指数として利用している「不動研住宅価格指数(東京の中古マンション価格)」とTOPIXの関係性を見てみた。図1がそれぞれの水準の推移である。 90年代初頭のバブル崩壊以降2000年代前半まで、中古マンション価格はほぼ一方的に下がっている。 その後は株価とほぼ同様に景気循環を反映した波を描いているように見える。

不動研住宅価格指数:http://www.reinet.or.jp/?page_id=14347
引用: 「「不動研住宅価格指数」は、株式会社東京証券取引所の「東証住宅価格指数」を引き継ぐもので、公益財団法人東日本不動産流通機構より提供された首都圏既存マンション(中古マンション)の成約価格情報を活用し、同一物件の価格変化に基づいて算出された指数です。」データは93年6月から。

そこで双方とも前年同月比のデータで散布図を描くと、興味深いことに2004年まではほとんど関係性が見られない。ところが2005年以降になると、かなり高い正の相関が出た。決定係数0.415、相関係数0.644である。

しかもTOPIXの変化は中古マンション価格指数の変化に6か月先行している。 例えば2013年初にアベノミクスで株価は急騰を始めていたが、現物のマンション価格の上昇は数か月遅れて始まった。

当時は私はロイターコラムで「REIT高騰に続くか、マンション投資の鉄則」(2013年4月)を書き、その中で「結論として、今の局面で合理的な投資選択は、すでに著しく割高になったREITから、まだ相対的に割安に放置されている個別不動産物件にシフトすることだろう」と指摘した。

実際2013年後半からマンション価格は上がりだし、私の指摘は的中した。もっとも私はマンション価格がまだ安値圏で停滞していた2012年に3000万円~4000万円クラスの物件(区分所有)を銀行借り入れで2戸買い増したので、2013年にバタバタと買うようなことはしなかったが。

また、東京の中古マンション価格は2016年まで上昇した後、2016年後半には下げの兆候が出ていたのだが、2017年に入って直近3か月ほどのデータでは再び持ち直している。これは昨年後半、特に11月からの株価の持ち直しを反映したものだと考えれば腑に落ちる。

なぜ2005年からなのか?
90年代から2004年までの期間について株価と中古マンション価格の相関がないのは、ひとえにマンション価格が一方的な下落トレンドにあったからだ。その主因は、銀行の不良債権処理が長きにわたった結果、マンションも商業ビルも担保処分という売り圧力にさらされていたからだろう。 

銀行は大手銀行を中心に2003年3月決算で大規模な不良債権処理を行い、2004年には不良債権処理の山場が終了したことが明らかになり、市場の雰囲気はがらりと変わった。その結果、2005年以降は、中古マンション価格も株価と同様に景気循環を反映して波を描くようになった。このように理解すれば、両者の相関が2005年以降生じていることが納得できる。

なぜ株価が6か月先行するのか?
なぜ株価の変化は中古マンション価格の変化に平均6か月の先行性が見られるのか。その理由は第1に上場株式の売買流動性は現物のマンション売買に比べて遥かに高いからだ。マンションは売るのも買うのも最低2~3か月の時間が必要だ。

第2は、株式とマンションの間には多少タイムラグを伴った代替性があるからだろう。例えばある不動産の専門家はこう言っている。「株価の上昇で増えたお金の一部は、確実に不動産市場に流れ込むのである。もちろん、その逆もある。ただ、私の個人的な感覚では、不動産で儲かったお金で株を買う人よりも、株で儲けて不動産を買う人の方が多いと思う。私の周囲でも、そういう例をたくさん見てきた」(榊淳司「2025年東京不動産大暴落」イースト新書、2017年6月)

わたしの場合は2013年からの株価の上昇で得た資金で、2012年に買ったマンションのローンを期限前返済した。

TOPIXともっとも相関の高いのは東京の中古マンション価格
また、不動研住宅価格指数に見る限り、TOPIXと関係性が高いのは東京の中古マンション価格指数であり、神奈川、埼玉になると関係性は低下し(決定係数で0.3前後)、千葉になるとさらに落ちる(同0.2弱)になる。 

東京のマンションの「金融資産化」を意味するのか?
以上のことは、東京のマンションの「金融資産化」を意味するののだろうか。そういう表現は可能だろう。 株価もマンション価格も、不況の時は投資家は先行きに悲観的になり、リスク性の投資をする際のリスクプレミアムを引き上げる。その結果、資産価格は長期の趨勢よりも低下する。逆に好況の時は、楽観的になり、リスクプレミアムを引き下げる。その結果、資産価格は割高になる。この点では両者は共通している。

最後に重要なのは、平均数年サイクルの景気循環より大きな、90年代のバブル崩壊を契機に起こったような構造的な変化にも備えることだ。その点で、今は株価と一緒に値を上げているマンション価格が今後10年ぐらいでどうなるか、実に興味深いステージが控えているように思える。


追記(6月22日):以下の論考も参考になる。
「2022年、住宅バブル崩壊でマイナス価格も」
「不動産の9割が下がっていく」
えっ、こんな怖い話ばかりでは、マンション投資なんてできなくなる?
(^m^)

図1
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図2
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毎度のトムソン・ロイター社の論考、ただ今掲載されましたが、同社サイトの制約で図はひとつしか掲載できないので、補足図表を以下に掲載しておきます。

冒頭部引用:「3月22日に国交省が発表した公示地価によると、東京をはじめ大都市では地価が目立って上昇した。マンション価格も2012年暮れのアベノミクス始動以来、前年同月比で上昇を遂げてきた。

2020年の東京オリンピックまで堅調な推移が続くと予想する向きもあるようだが、最近数カ月は今後のマンション価格の下落を示唆する兆候が現れている。 

東京都心部のマンション価格は中古、新築ともにすでに2007年のミニバブル期を超える割高水準となっている。日銀のマイナス金利導入で住宅ローン金利が少し下がったからと言って、購入に動けば長期的には高値つかみになる可能性が高い。そうした事情をご説明しよう・・・」

以下補足図表の説明

第1図:以前もブログで計算した不動研住宅価格指数(中古マンション価格指数、東京)、
マンション賃料インデックス(東京)、価格を賃料指数で割ったPRR

第2図:マンション成約件数、新規登録数、在庫件数の推移(すべて東京)

第3図:ロイター社でも掲載した上記の不動研住宅価格指数の前年同月比(%)と在庫件数/成約件数(在庫件数倍率)(12か月移動平均)の推移、後者は逆メモリになっている点に注意

第4図:第3図を散布図にして相関関係がわかるようにしたもの。
関係性は有意で決定係数0.78と非常に高い。



                            第1図
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第2図
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第3図
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第4図
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流動性の高い資産価格が先行して動く、流動性の低い現物不動産価格は遅れて動く。
以下手短に。

これは90年代初頭のバブル崩壊局面でもそうだった(株価のピーク、89年12月末、不動産のピーク91年)。

2006年-07年のプチ不動産バブルの時も、株やREITが先行して上昇し、現物不動産は遅れて上がった。その崩壊過程でも現物の不動産は数か月遅れて下落している。

アベノミクスで円安、株高に動き始めた時も、為替相場と株価は12年末から顕著に動き出したが、現物不動産価格の上昇は13年半ばからだった。

さて、今回の株価の下落と円高への戻り、株価は既に昨年のピークから22%の下落となった。この後、遅効して現物不動産市況にも負のインパクトがあると思った方が良いだろう。
以下、直近の三井住友トラスト基礎研究所の2月9日付レポート、主文(メインシナリオ)より、最後の以下のリスクシナリオの段落が重要な局面だろう。

 引用:「このようなメインシナリオではあるが、下振れリスクは増大している。

 前回のリリースレポートでは、リスクとして、想定外の金利上昇、中国の景気減速、賃料上昇期待の裏切り、連続するイベントの作用(2017年消費増税、2018年日銀総裁任期満了、2019年オフィス大量供給)を上げたが、ここにきて地政学リスクの拡大、円高への反転(企業業績の悪化、株価下落、海外資金の物件売却増加、訪日外人客の減少)、オイルマネー系SWFの投資資金の縮小など、リスクは増大している。
 
 リスクシナリオを念頭においた投資行動必要性が高まっている。」
***

追記(2月13日):
中古マンション市況、要警戒、近い将来の価格下落の兆し
価格的には前年同月比で上昇が続いているが、在庫数、月間成約数を見ると需給環境は、悪化を示唆している。中古価格が下落に転じれば、新築も下落する。

「日銀のマイナス金利で住宅ローン金利がまた下がったから、お買い得」なんて言っていると、「飛んで火に入る夏の虫」になるよ。
 
何度も言っているが、住宅の購入は、投資も自己居住も、
次の不況まで待て!
景気は循環するもの。不況もまた必ず来るんだから。
 
***
 
東日本不動産流通機構、月例速報、2016年1月
東京都中古マンション
2016年1月 成約件数 1292(前年同月比8.3%増加)
同 新規登録件数 9952(同36.6%増加)
同 在庫件数   23,750(同35.7%増加)
成約件数 / 在庫件数=5.4% ← 2015年1月6.8%

毎度の私のトムソン・ロイター社での論考です。
 
一部引用:「筆者は昨年4月の本コラム『REIT高騰に続くか、マンション投資の鉄則』(13年4月19日掲載)でREIT価格と現物不動産価格の変化に数カ月のタイムラグがあることを指摘して次のように述べた。
 
『今の局面で合理的な投資選択は、すでに著しく割高になったREITから、まだ相対的に割安に放置されている個別不動産物件にシフトすることだろう』『実体経済の景気回復が持続する限り、今後数カ月のうちに現物不動産価格の上昇がデータでも明瞭に確認できるものになるだろう』。 その後の変化は、筆者の指摘通りとなった。
 
こうしたマンションを中心とする不動産価格の上昇は今後も持続するだろうか。結論を先に言うと、価格の割安局面はすでに終わった。今後の価格動向は住宅賃料の上昇、さらにそれを可能にする賃金の増加が実現するかどうかにかかっている。」
 
13年以降の直近の変化で気になる点は、価格が上昇したにもかかわらず賃料が目立って上昇していないことだ。14年1月のデータでは都区部の価格は前年同月比8.4%上昇しているが、賃料は同0.5%の上昇にとどまっている。
 
賃料と価格の変化は正の相関関係があるが、05年以降のデータに基づく限り、賃料の変化は価格の変化に6カ月から1年遅行している(ゼロからプラスマイナス1の値をとる相関係数は約0.7)。これは賃貸契約が一般に2年間契約で更新されることから生じるタイムラグだと考えれば納得できる。
 
したがって今年、遅行していた住宅賃料の上昇が起こらないと、価格の持続的な上昇は再び11年のように頓挫する可能性が高くなる。なぜ賃料が上がらないのだろうか。賃料は短期的には住宅をめぐる様々な需給要因に左右されるが、長期的には賃金所得の上昇を伴わない賃料上昇はあり得ない。」
 
「もしも『賃金上昇、国内物価上昇、賃金上昇』の連鎖が始動しなかった場合には、住宅賃料も目立って上昇せず、その結果マンション価格も頭打ちとなり、やがて景気の後退とともに再度下落に転じる公算が高くなるだろう。
 
マイルドなインフレを伴う持続的な景気回復となるか、あるいは景気の腰折れとともにデフレに回帰し、株や住宅などの資産価格も下落に転じ、アベノミクスは水泡に帰すか、14年はその分岐点となる。筆者は基本的に前者の楽観シナリオを想定しているが、後者のリスクシナリオも無視できない程度の可能性があろう。」
***
 
別件:同日の3月6日ワカバヤシFXで講演して来ました。 大手町のファーストスクエアビルで120人ほどの聴衆、盛況でした。
私の講演(第1部)、若林栄四さんの講演は第2部、本ブログの読者はお分かりだと思いますが、若林さんは徹底的な罫線信奉者ですから、「実証派エコノミスト」を自認する私とは水と油ぐらい違います。
 
当然聴衆の方々も罫線信奉者が多いようですが、講演後の懇親会での感じでは、私の講演内容はかなり好評でした。持参した弊著も完売。 まあ、「実証的に考えると・・・」という分析にあまりふれたことがない方々が多かったので、新鮮に感じたのかもしれませんね(^_^;)
 
若林さんが講演の中で強調していた点を以下記録のために書いておきますね(青字)。
米国は一部のエリート層が富を独占する強欲資本主義になってしまった。ミドルクラスが細っている。これでは経済はダメになる。(懇親会で「Pクルーグマンやステグリッツ並みのご判断、リベラル派になられたんですね」と申し上げたら、「オレは元々リベラルだ」とのお答えでした)
 
米国株は既に上がり過ぎ。今年は反落する。反落と回復を繰り返しながら、2022年まで下落トレンドとなる。
日本株は米国株が下がる場面ではやはり下がるだろうが、大底を既にうったので、基調は上げトレンド。
一方、ゴールド(ドル建て)は十分に下がった。ここからは上がる。
ドルの対円相場は上がり過ぎ。今年は90円近辺までの反落あり。そこは買うべき。
アベノミクスなんて信用ができない。今年は安倍首相は経済情勢で苦戦するだろう。
量的金融緩和なんて信用できない。東大法学部卒の黒田総裁は相場や経済がわかっていない。
 
講演後の懇親会で一部の方にはお話し致しましたが、若林さんの相場観は相場の転換点はわりと良い感じで当てるんですが、相場が「大衆化」してくるととたんに、その相場トレンドが嫌になり、トレンドと反対のことを言う癖が強いです。これは私は知っている30年前から変わりません(^_^;)
ところが、相場は「大衆化」してから長いトレンドが続くことが多いのですね。そこではずれます。
 
今回も2012年が円高のピークで円安になる・・・てのは上手く当てられたようですが、2013年に「アベノミクスで円安」というシナリオが大衆化するやいなや、その円安トレンド嫌になって、そこから外しているそうです。 
そういうご本人の癖、バイアスを調整して聞いた方が良いですよ、ということを参加者の幾人かにコメントしたら、「なるほど、確かに・・・・」との反応。聴衆はみな「若林信奉者」かと思いきや、けっこう冷静に見ているんですね。
 
結果として、なかなか楽しい講演会でした(^。^) またご講師でご招聘頂けないかな・・・。
 
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前回のマンション投資の築年数と賃料利回りに関するブログが好評だったので、続けてもうひとつ書いておこうか。 金融・投資について素人の方がほとんどする過ち、あるいはバイアス(判断の歪み)が現金主義的な発想だ。
 
最も典型的には、投資目的でローンでマンションを買う場合、月々のローンの元利金の支払いと賃料の受取額(経費差引後)の合計で若干のプラスにしたい、あるいは最低限受払額をチャラにして自己資金の持ち出しを最小限にしたい、その方が有利だと考えている方々が実に多いことに驚かされる。
 
ローンの期間を長くするほど、月々の元金返済部分の金額が減るので、毎月の元利均等で計算される返済額は小さくなる。したがってローン期間も30年、35年と長くする方が実に多い。
 
また、投資を始める際の自己資金も購入価格の1割以下とか、できれば全額ローンで買いたいと考える方も実に多い。
 
こうした現金の受払いのみで損得を考え、投資期間中の自己資金の持ち出しが少ないほど有利だと考える傾向を「現金主義の誤謬」と呼ぶことにしよう。 金融・投資についてまともな学習、訓練を経た投資家の目から見れば、児戯に等しいような選択だ。
 
そのことがわかるように、以下に2つのケースのキャッシュ・フローと最終的な投資結果がわかる表を添付したので、拡大してご覧頂きたい。
 
ケース1は3000万円のマンションを1000万円の自己資金、2000万円の銀行借入、ローン期間10年で買った場合だ。自己資金に対する借入金の倍率(金融レバレッジ比率)は2倍である。 貸し手の銀行にしてみると、物件価格の3分の2しか貸していないことになる。
 
つまり、もし仮に債務者がローンの支払いができなくなり、担保処分のために物件を売る時でも、購入時の価格の3分の2以上の価格で売却できれば、銀行はローンを全額回収できることになる。返済が進めば購入金額に対するローン残高の比率はさらに下がっていくので、銀行がローン残高を全額回収できなくなる可能性はとても低い。したがって、適用金利は優遇され低い金利を引き出すことができる。例では仮に2.5%とした。
 
しかしローン期間を10年と短めに設定したので、毎年の受払いネットのキャッシュフローは31万円の持ち出し(支払超過)だ。5年目に6か月テナントが入らず空室になったことを想定してある。その年は128万円の持ち出しになる。
 
ケース2は反対に自己資金は100万円のみ、2900万円の銀行借入、ローン期間は35年と最長を選んだ場合だ。上記と反対の理由で銀行にとっては与信リスク(債務者が返済不能になった場合のローン回収不能リスく)が高くなるので、適用金利は高くなる。ここでは3.5%とした。
 
毎月、あるいは毎年の元利均等返済額がどのようになるかは、以下のサイトで簡単に計算できる。
 
さて、双方のケースとも賃料利回り(経費差引後)は195/3000=6.5%と想定してある。そして10年後に売ったとしよう。売却価格は年率2.5%で経年による老朽化で価値が減少したものとして計算すると、2329万円=3000×(1-0.025)^10となる。 ^はエクセルの累乗の記号である。
 
10年後の売却時点で、ケース1はローンの返済が終わっている。一方、ケース2は2394万円の未返済ローン残高が残っているので、売却代金でローンの残りを返済することになる。
 
表でそれぞれカラーをした列が売却までを含めた10年間のネット・キャッシュ・フローだ。
 
ケース1の青色列では10年間のネット・キャッシュ受取が、919万円である。もし買った時と同じ3000万円で売れた場合のネット・キャッシュ受取は1590万円になる。
 
ケース2の黄色列では同様にネット・キャッシュ受取が250万円である。もし買った時と同じ3000万円で売れた場合のネット・キャッシュ受取は921万円になる。
 
最終的なネット・キャッシュ受取額はケース1の方が671万円多くなる。もちろん投資した資金量がケース1の方が大きいのだから、ネットの回収額も大きくなるのは当然だろう。
 
むしろ注目して頂きたいのは、10年たった時点のマンション価格の変動に対する損益分岐点(ここではネット受取額がプラスではなくマイナスになってしまう売却額)が、大きく違うことだ。ケース1でマイナスに転じる価格水準は1409万円、ケース2では2079万円となる。
 
つまり自己資金をより多く投入して、その結果、低い金利で短い期間のローンを組んだ方が、価格下落に対する耐久度がずっと高くなる(損益分岐点がずっと低くなる)ということだ。 投資家の失敗・破綻リスクはケース1の方がずっと低いのである。
 
逆に言うと失敗・破綻事例はほとんどの場合、次のような条件下で生じている。
購入価格の100%ないしはそれに近い比率でローンを長い期間(例では35年)で組む。
したがってローンの適用金利が高い。
投資家に自己資金の余裕が乏しい。
 
これに「新築マンションを業者の売値で買っている」という条件が加わると、投資の失敗はほとんど必然だと断言できる。
 
なお、ネット・キャッシュ・フローのIRR(内部収益率)を比較すると、ケース1では6.0%、ケース2では
41.7%となり、ケース2の方がずっと高くなるが、これはケース2が購入時点で自己資金に対するローン比率が29倍(金融レバレッジ比率29倍)と極端に高いからに他ならない。そしてレバレッジ比率の高さに見合って、リスクも極端に高くなっているということに他ならない。
合理的で賢明な投資家のすることではない。
 
関連論考:「REIT高騰に続くか、マンション投資の鉄則」 トムソン・ロイター社コラム、
 
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新築マンションの販売、中古マンションの売買、双方とも前年比で目立って増加してきた。新築のマンション販売の増加は、来年4月からの消費税引き上げ前の駆け込みという事情もある(もっとも4月以降利用できる予定の税制の優遇を使うと駆け込む必然性はあまりない)。
 
しかし中古マンションについては仲介ならば消費税はかからないので、景気回復継続期待、アベノミクスによるインフレ期待、東京ではオリンピックに向けた不動産価格の上昇期待など複合的な要因だろうか。
 
9月27日付け日経新聞記事
引用:「不動産経済研究所(東京・新宿)は17日、8月の首都圏の新築マンション発売戸数が前年同月比53.3%増加したと発表した。東京都心の大型物件の供給が全体を押し上げ、戸数は8月としては8年ぶりの高水準となった。」
 
レインズタワー2013年9月レポート(10月10日リリース)
引用:「首都圏中古マンションの成約件数は3,123件(前年同月比12.5%増)で、13カ月連続で前年同月を上回っている。1都3県そろって前年同月を上回っており、東京都は前月に続いて2割を超える増加。成約㎡単価は首都圏平均で40.95万円(前年同月比8.7%上昇、前月比2.3%上昇)で2カ月連続の上昇」
 
市場が動いているので、仲介業者の動きも活発になっている。中古については基本的には売り物件を求める動きが強かったが、ここにきて価格の上昇をうけて売り物件の供給が増え始めた感じだ。
 
景気の波が現在のように上がり始めているが、まだ一方向に傾いていない状況では、中古マンション市場も強気弱気や売り買いが交錯するようだ。
 
私に関していうと、2000年に中古で坪単価200万円で買ったマンション(1999年完成、都心)を
坪単価187万円で売ることになった。ローンは2007年に完済しているから、3000万円ほど現金ができる。 (坪単価とは価格を専有面積(坪)で割ったもの。)
 
普通預金に積み上げていても運用にならないので、「良さげな投資物件があれば現金で買いますよ」と3社ほどに声をかけておいた。もちろん売った物件以上のリターンが期待できるものでなければ買う意味はない。
 
1か月ほど物色していたら、良さげなものが出てきた。築5年、坪単価201万円だ。単利のネット利回り(管理費・修繕積立金、資産管理手数料差し引き後)6.0%だ。 買うことにした。まだ契約までは至っていないが、これが買えればうまい具合に「高く売って、安く買う」の資産入れ替え大成功だ。
 
「おいおい、ちょっと待てよ。売った価格は坪単価187万円、買う価格は同201万円、これのどこが高く売って、安く買うだ? 逆になっているじゃないか?」
 
そう思われた方は、不動産、マンション投資のイロハがわかっていない。私が近著「稼ぐ経済学」で、あるいは2008年の「資産運用のセオリー」の中で強調して説明している「資産価値は収益還元法
(discount cash flow)で計算しなさい」を知らない、あるいは理解できていない方だ。
 
価格は収益還元法で現在価値を求めて算出する。投資のリターンはIRR(内部収益率)で計算する。
エクセルで簡単に計算できるし、私のホームページにもすぐ使える計算フォームを張り付けてあるのだが、これを実践している個人投資家は稀だ。
 
私の売った物件のIRR(内部収益率)は現行家賃をベースにすると4.0%だ(ネット家賃利回りを価格で割った単利では5.4%)。一方、これから買おうとしている物件のIRRはやはり現行家賃をベースにすると5.4%(同単利では6.0%)になる。 これが「高く売って、安く買う」の意味だ。 ちなみに現行家賃は市況比いずれも平均的な水準である。
 
こう言ってもわからない方は、決してマンション投資に手を出してはいけない。まずは弊著「稼ぐ経済学」を読まれてからにした方が良いだろう。
 
discount cash flowの使い方がわからない方でも、「年間家賃/購入価格=表面利回り」で単利の利回りを計算している方は多い。 業者もそれをベースに薦めてくる。 ただし収益になる家賃から経費(管理費、修繕積立金、管理手数料、税金その他)を引いたNOI(net operating income)で計算すべきである。 税金部分が事前にわからない場合は、それ以外の経費だけでも差し引いてネット家賃利回りを計算しよう。
 
さらに多少投資に手を染めた方なら、築年数の経過とともに求めるべきNOIのリターンは引き上げるべきことを知っているはずだ。 しかし築年数の経過に合わせてどの程度上げるのが合理的だろうか?この点もやはり収益還元法とIRRを使えば計算できるが、これをきちんと考えてやってる個人投資家はやはり稀だ。
 
そこで築年数とNOIリターンの関係をひとつの目安として以下に例示しておこう。
試算の前提条件は以下の通り。
新築マンションの寿命: 48年(日本のコンクリート建物の法定耐用年数)
寿命到来時の価値: ゼロ(実際は建物の価値はゼロでも土地の価値が残るが、解体コストもかかるの  で相殺してゼロと想定)
専有面積: 50平米
ネット賃料: 月額15万円(実際は物価変動がなくても老朽化によって賃料は下がると考えるべきかもし
 れないが、ちゃんと補修され装備も更新されている都心部のマンション賃料は価格と異なり、築年数 
 が古くなってもあまり下がらないようなので、賃料不変の想定)
空室リスク: 考慮しない最大リターン
実現すべきIRR(内部収益率): 5.0%(一番需要な項目がこの水準設定)
 
以下の掲載図表は、図表の築年数に対応したNOIリターンで買えば、上記の想定の下に5.0%のIRRが実現できることを示している。
ただし築年数0、すなわち新築でNOIリターンが5.5%の物件なんて、特殊な事情の例外を除くとありえない。それは価格に新築プレミアムがのっているからだ。でも築10年で6.0%前後の物件ならチャンスはある。新築プレミアムが剥げ落ちているからだ。
 
また、これはあくまでも単純化した想定の下でのめど値であり、築15年以上は物件の補修やら装備の更新などのコストも増えてくるので、図表が示すNOIリターンよりもさらに0.5~1.0%程度高くした方が良いだろう。
 
今回のようにほぼ同時に(売買に時間がかかるマンション投資の場合、1か月程度の時間差はほぼ同時と言える)高く売って、安く買う入れ替えができるのは、ラッキーなケースだと思う。それに税金や仲介手数料もかかる(仲介手数料は概ね価格の3%)ので、最終投資家には株式のように短期の売買は無理だ。したがって、著作のなかで強調している通り、長期保有を前提に不況時に安く買って、好況時に高く売るのが基本方針だ。
 
関連ブログ:来たる東京ミニバブルへの合理的な選択とは?
 
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
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2020年東京オリンピックに向けて、東京を中心とした「ミニバブルへGo!」の雰囲気が急速に高まっている。
本日の日経新聞Web版に掲載された長嶋修さんという不動産コンサルタントの大局的な見通しについて、私もほぼ同じ判断だ。おそらく不動産業界の関係者も似たりよったりの予想イメージだろうか。
 
ただし問題は、そうした予想イメージをベースにどのような投資ポートフォリオを保有するかだ。投資の成否はその具体的な判断にかかっているので、引用しながら、私のコメントを付しておこう。(以下青字が引用文、黒字が私のコメント)
 
「私は日ごろ、市場動向予測については慎重なのだが、今後、少なくともオリンピック開催まで、湾岸や東京都心エリアの地価が上昇するのは既定路線といっていいだろう。 08年のリーマン・ショック、そして11年の震災の影響で長らく低迷していた不動産市況は、昨年後半から徐々に改善し、底打ちの兆しが見られていた。そこに政権交代のアナウンス、アベノミクスによるインフレ期待が加わり、完全に底を脱したといえる。」
 
そうそう、不動産業界関係者はほとんどみなそう感じている。これから起こることは「上がる」という予想が自己実現するハッピー局面でしょうね。
 
「海外勢にも日本の不動産は注目の的。現在は、日本はもちろん、世界的に「超」がつくほどの金融緩和状態にあること。さらには株式市場同様、リーマン・ショック後に他国が持ち直すなか、低迷していた日本の不動産は相対的に割安感があると見られていることなどが挙げられる。」
 
2005年~07年に内外の不動産ファンドが東京を中心に不動産投資に殺到したのも、当時の相対的な割安感(すぐに割高に転じてしまったが)と、日本の超低金利の結果、金融レバレッジによる投資リターンの引き上げが容易だったことが働いていた。
 
「ではいったい、どのくらい価格が上昇するのか。東京都心部や湾岸地区以外の他の地域はどうなるのか。具体的にどのくらい上がるのかまでは私も見通せないし、誰にもわからない。
なかには、これから東京湾岸地区のマンション価格が2割上がる、2倍まで上がるとの予測もあるようだが、さすがにそこまでいくとは考えていない。2割の上昇ということは、5000万円のマンションが6000万円になるということ。あくまで感覚の問題だが、これは上がりすぎだと思う。1割程度の上昇はありそうだと思うが。」
 
1割の上昇というのはかなり控えめな予想だと思うが、オリンピックまでに2割~3程度の上昇はありそうだと私も思う。 ただしここでいう上昇率というのは、築年数を含めた同種物件の上昇率であることに注意しておこう。
 
例えば新築の場合、価格の2割前後は新築プレミアムであり、一度誰かが入居すれば「中古」となり、価格は2割下落する。つまり「東京のマンション価格は上がる」と予想して、新築を買った場合、予想通りに新築価格が2割上がっても、中古物件になった自分のマンションは元々の買値と同じ価格でしか売れないということだ。
 
さらに経年、老朽化による価値の減耗を考える必要がある。東京都区部のマンションの老朽化による平均的な価値の減耗は私が東日本不動産流通機構(レインズタワー)(以下)のデータで計算する限り、年率2~3%程度だ。
 
仮に2.5%とすると、購入から5年経過したマンションは市況水準が同じでも、老朽化で12%は買値から下落する。 つまり中古で買って、5年経過し、市況が2割上昇しても、実際に売れる価格は8%の上昇
(=20%-12%)ということになる。
もっとも長期のマンション投資は、インカムリターンをベースに考えるものである。仮に年率のインカム・リターン6%にキャピタルゲイン8%が加われば、投資結果としては上出来だろう。この場合、8%のキャピタルゲインは年率にすると約1.6%なので、年率総合リターンは7.8%になったことになる。
 
というわけで、繰り返し強調しているように「マンション投資で成功したければ中古で買え」が鉄則だ。新築で買うのはカモネギ顧客である。
 
「人間のこうした感覚は時間の経過によって変化していく。実際にオリンピックが近づき世の中の雰囲気が変わり、現在とは異なるある種の熱狂に入れば、いくらでも価格上昇の予知はできてしまう。経済成長や所得の上昇を伴えば健全といえるが、そうでない場合にはその後下落する。そしてその下落分が、後になってバブルだとわかるのだ。」
 
2007年までのミニバブルが2009年にかけて崩壊したように、今回もミニバブルが起こればその後に反動の「崩壊局面」が起こるだろう。それまでの上昇予想が自己否定に追い込まれるアンハッピー局面だ。
 
「バブルが起こり、その反動も起こる」と業界関係者が予想しているなら、だれもバブル価格で買いたいとは思わないから、バブルと崩壊も起こらないのではないか?」そう考える方もいるだろう。これは一種の合理的期待形成論だな。
 
ところが、現実にはこの種の合理的期待形成論はワークしない。プロの業者は無知な素人を巻き込んでチキンゲームに走るからだ。それがバブルに至る道だと認識していても、皆が走る以上、業者も走らざるをえない。それがバブル・プロセスというものだ。(この点は弊著「なぜ人は市場に踊らされるのか?」日経新聞出版社2010年に詳しく書いたことなので、ご関心あるかたは弊著をお読み頂きたい)
 
「いずれにせよこれから住宅を購入する方は、35年の住宅ローンが終わるころには、日本の人口は3300万人以上減少、つまりカナダの全人口と同じくらいの人がいなくなっている、さらには65歳以上が全体の40%程度になる、ということを踏まえておく必要がある。」
 
そうそう、だからとりわけ日本の場合、バブル局面ではしっかりと売り抜いておかないと投資としては成功しないよ、ということ。
 
「今回の価格上昇局面では、その地点は東京都心や湾岸、その他大都市圏など一部に限られるだろう。 人口・世帯数が減少していく中で、国内の不動産すべてが上昇するなど土台無理な話。都市部でも駅から遠い、生活利便性に欠けるなどの難点がある場所は、難しいだろう。高度成長期に分譲された郊外ベッドタウンは、一部の例外を除いてその多くが長期的に衰退していく。」
 
泣いても騒いでも、今の少子高齢化のトレンドを受け入れる限り、これが避けられない運命だ。
 
「08年3月期決算は不動産市場のプチバブルの中で、どのマンションデベロッパーも過去最高決算を迎えていたが、このときには価格高騰や在庫余剰などから、バブル崩壊の兆しありとして警告してきた。その後多くのデベロッパーが破綻、そしてリーマン・ショックを迎えることになる。これからオリンピックが終わるまで、こうしたアップダウンを市場は再び経験することになりそうだ。」
 
さあ、みなさま、勝ち組・負け組を分かつ大波・小波が再びやってきそうです。
NHKドラマ「アマちゃん」の歌 「寄せては返す波のように 激しく」バブルと崩壊は繰り返しますねえ。
ワクワクしちゃうなあ(^。^)
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
 
 

facebookつながりで知ったが、以下の「不動産投資に関する意識調査」が興味深い。
この種の不動産投資家(不動産が本業の個人、他に本業がある個人の双方が対象と思われる)の意識、動向調査はこれまであまり見た記憶がない。
 
 
http://www.nomu.com/pro/news/images/img_summary01.gif
  • 調査時期 2013年5月21日(火)~5月26日(日)
  • 調査対象 投資用不動産サイト「ノムコム・プロ」会員 (会員数 約17,000人 ※2013年5月時点)
  • 有効回答数 652 人(投資用物件の保有者:390 人、非保有者:262 人)
  • 調査方法 インターネット上でのアンケート回答
興味深い点は以下の点
「1年後不動産価格はどうなると思いますか?」
今回(2013年5月)の調査では「上がる」が65.5%の急増(1年前は13.9%)
 
「アベノミクスを受けて投資意欲が上がった対象は?」
株と不動産が筆頭
「下がった対象は?」
国債、外貨預金、外債が上位 (←円安ドル高で100円を超えた5月時点としては正しい判断ですね)
 
「保有している投資用物件について、4割以上の方が、総投資額「1億円以上」と回答」
会社員44%、プロの不動産経営者は解答者の8.7%、その他のオーナー経営者は10.0%です。
また半分は50歳以上。プロフィールのデータ参照。
 
「不動産投資で得ている収入について、3割以上の方が年間「1,000万円以上」と回答」
純収入ではなく、グロス収益のようですね。
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新著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法」(光文社)2013年5月20日発売中!
個人投資家がマンション投資で成功するための鉄則は、本書の5章で詳しく解説しています。
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
 

円相場、株、REITなど流動性の高いものが先行的に動き、流動性の低い現物不動産などの資産が遅れて動き出す。これは4月のロイターへの寄稿でも書いた点だが、やはりそうなるなとますます感じる。
 
本日の日経新聞記事:
「企業の不動産取引が活発になってきた。今年1~3月の土地や建物などの取得額は、2008年の金融危機前の水準を回復した。低金利で資金を調達しやすくなった企業が、事業拡大に備え物流拠点やオフィスなどの先行投資に動いている。設備投資などを通じ、景気回復を後押ししそうだ」
 
「1~3月期のREITによる物件取得は6387億円と前年同期の2.8倍に増え、6年半ぶりの規模に膨らんだ。2月に新規上場した日本プロロジスリート投資法人は千葉県市川市の物流施設など12件を計1700億円強で取得した。「2~3年で運用規模を3000億円にする」方針だ」
 
「「とるべきリスクをとって前向きに資金を供給していこう」。12日、三井住友銀行頭取の国部毅(59)は部長や支店長ら1000人にげきを飛ばした。三菱東京UFJ銀行頭取の平野信行(61)も「政権の脱デフレ路線に貢献したい」と表明。みずほフィナンシャルグループ社長の佐藤康博(61)も「リスクマネーを投じる」と成長事業に出資するファンドをつくった」
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これから起こることは、2003年の後半から07年にかけて起こったことと似た(すべて同じということはないが)コースになると思う。
 
特に銀行に関する最後の記事: 2006-07年の不動産ミニバブルの時に、不動産融資を膨らませ、2008年以降沢山の貸し倒れをつくってしまった(90年代の規模に比べるとミニ不良債権だが)銀行は、あつものに懲りてなますを吹いていた。 今再び同じサイクルで動き出す感じだね。
 
景気回復が持続すると言っても、結局大きな資金需要は企業買収か、不動産投資関連になる。そこへメガ・マネーが向かえば、最初は慎重にやっていても、だんだんと競争が高じて、結局「そこまでやりますか?!」のバブル融資になるだろう。 形は変われど、本質は変わらぬサイクルだな。
 
不動産市場の動向は、いろいろな情報があるが、たまたま本日飛び込んできた不動産研究所のサイトを紹介しておこうか。
 
住宅価格動向については以下のREINS Market Informationも良い。
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追記:5月1日日経新聞記事
「投資マネーも流入している。ドイツ証券の小夫孝一郎ディレクターは「不動産投資信託(REIT)や年金などの出資する私募不動産ファンドが安定した賃料収入を見込んで賃貸マンションを取得している」と話す。貸家は10.7%増の32万戸と、3年ぶりに持ち家を上回った」
 
きてますね・・・っていうか、最近の日経新聞、ちょっとアベノミクス効果を煽り気味?(^_^;)
 
追記:5月4日日経新聞記事
「東京のオフィス市況が回復している。新築を中心に賃料が上昇基調をたどっている。空室率も低下傾向にあり、一段の需要拡大が続きそうだ。設備や新しさ、立地などでオフィスビルの人気が分かれる傾向も強まっている」
 
新築ビルの賃料の変化は中古のそれに対して先行性があるようです。 
 
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トムソン・ロイター社のコラムへの毎度の寄稿です。
今夕、掲載されました。以下サイト
 
ご覧になってよろしければ「おすすめ」など是非クリックお願い致します。<(_ _)>
 
引用:
3月以降のREIT相場は賃料収入との比較、予定配当利回り、あるいはP/NAV指標(投資口価格/1口当たりの純資産額)など、いずれの指標でみても、ますます割高になっており、その割高度は2007年の前回ピーク時に匹敵するか、それ以上だ。
 
一方で、個別の商業ビルやマンションなどの現物の不動産物件の価格は、統計データで見る限り昨年の水準と比較して今のところ目立った上昇は示していない。
 
REITは商業ビルやマンションなどの賃料収入を主に配当するファンドであり、その資産は収益不動産そのものであるにもかかわらず、REITと現物不動産の間に著しい価格の乖離(かいり)が起こっているのだ。なぜだろうか。
 
同マンション価格指数に対してREIT指数(いずれも前年同月比変化)を6カ月先行させて相関関係を示したのが下の図である。
 
両者の相関係数は0.765とかなり高い(正の相関係数は0から1の値をとり、1の時は完全な比例関係になる)。今回もこの相関関係が働くならば、今後マンションなどの個別の不動産物件価格も数カ月遅れながら上昇が始まることになる(図中の赤線の方向への変化)。
 
実際、不動産業界関係者に話を聞くと、今年に入ってから都心部を中心に不動産投資マネーの動きが明らかに活発化しており、売り手も次第に強気になり始めているという。実体経済の景気回復が持続する限り、今後数カ月のうちに現物不動産価格の上昇がデータでも明瞭に確認できるものになるだろう。」
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追記: 参考サイト
東証REIT指数のチャート 
YahooファイナンスのREIT一覧
 
 
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http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
 

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